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診療科・部門

産科・婦人科

当科の特色

●周産期  [母子はぐくみセンターのページはこちら]

室内

妊娠中から妊婦さんとお話し合いをしてその人に合った分娩プランを立て、栄養の取り方、生活の仕方や様々な不安などに対し色々とアドバイスを行っています。3室の分娩室はすべて陣痛から分娩まで個室内で行うLDRとなっています。夫の立ち会いはもちろん、ご家族で新しい命の誕生に立ち会うこともできます。(新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年からは新型コロナウイルス抗原検査の陰性が確認できたご家族1名のみの立ち合いでお願いしています。)アロマセラピーやBGMによる自然な和痛を行いながら分娩まで過ごしていただきます。分娩は個性に合ったフリースタイルを取り入れ、側臥位や四つん這いなどその妊婦さんに最適なスタイルでのお産を行っています。産後には趣向をこらしたお祝い膳をご用意しておりますので、お楽しみください。

 赤ちゃんの哺育にはいかなる側面からも母乳がベストであることは世界的に認められた事実です。しかし全てのお母さんが簡単に母乳哺育をできるようになるわけではありません。当科の助産師は皆さんが母乳哺育できるよう入院中ばかりでなく退院後も母乳育児外来や電話相談などで様々なアドバイスをいたします。

妊娠や出産の多くは順調に経過しますが、時には様々な合併症やアクシデントにより母児が危険にさらされることがあります。このような時、複数の診療科や専門医の協力が必要になります。総合病院である当院にはあらゆる診療科からの協力が得られる環境があり、リスクの高い赤ちゃんや早産にも対応できる新生児のICU(NICU)があるため、様々な合併症を持ったハイリスク症例の妊婦さんも紹介されてきます。
 分娩時に胎児の急変があった場合にも、麻酔科や小児科と連携し、緊急帝王切開を含む急速遂娩を迅速かつ安全に行うことが可能です。また、大量出血等で妊娠・分娩中に母体の命が危うい場合にも、麻酔科や救命救急科、手術室、輸血検査室などと連携して集学的治療を行います。このように複数の診療科や部門と協力して、妊娠中に起こる不測の事態にも対応できる体制を整えている当院ですが、予期せず当院へ転院になった妊産婦さんにも信頼いただけるように、近隣の医療機関とも連携して質の高い医療を提供できるように努めております。
 お母さんと赤ちゃんが健やかにご家族の待つご家庭へ退院できるようにお手伝いすることが、当院の使命であり求められる役割であると思います。妊産婦さんとご家族が安心して妊娠、出産に臨めるように、これからも私たちは日々研鑽を重ねてまいります。

妊娠中の母体の感染症が胎児に影響を及ぼす可能性のある、いわゆる母子感染の治療および予防について、専門の医師が積極的に取り組んでおります。HPにてその詳細を説明いたします。

 

母子感染についてはこちらをごらんください。


当院は、2022年より、新型出生前診断(NIPT)の基幹施設となり、母の血液から胎児の染色体を検査することができるようになりました。従来から行ってきた羊水染色体検査も行っております。異常が疑われた場合のカウンセリングや、小児科を含めたフォローアップも行っております。

NIPTについてはこちらをご覧ください。

また、当院はさい帯血バンクの提携産科施設です。さい帯血は白血病などの重い血液疾患の治療に役立てられます。さい帯血バンクについて詳しく知りたい方は、下記のホームページをご参照下さい。

北海道さい帯血バンク(日本赤十字社 北海道ブロック血液センター ホームページへ)

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● 婦人科

内視鏡手術とがん診療が中心になっています。2021年の総手術数は、COVID-19のパンデミックの影響で減少したものの1471件あり、そのうち腹腔鏡や子宮鏡を用いた内視鏡手術が994件という実績となっています。内視鏡手術の利点は何と言っても、傷が小さく、体への負担が少ない点にあります。そのため退院が早く、日常生活への復帰が早いことが特色です。退院までの標準日数は子宮鏡手術で翌日、腹腔鏡手術なら術後4日目となっています。腹腔鏡手術は、小さい穴を通したカメラや器械を使っての手術のため、一般の開腹手術とは異なった高度な熟練した技術が求められますが、当科では早くから内視鏡手術に取り組み、内視鏡手術件数は10,000件以上に達しています。これらの豊富な経験の積み重ねを生かし難度の高い内視鏡手術も行えるようになっており、今や内視鏡手術が標準といえます。夜間や緊急の患者さんも、当院では救急体制も麻酔科も充実していますので内視鏡で緊急手術を行う事もできます。また、ダ・ヴィンチによるロボット支援下腹腔鏡手術も行っております。

I 良性疾患

良性の腫瘍は、すべてが手術になるとは限りませんが、状況により手術になることも少なくありません。私たちは、良性疾患の手術はほとんど内視鏡手術で行っております。

① 子宮筋腫
子宮筋腫は女性の約20%に見られる疾患で、多くは手術の適応になりません。しかし、月経量が多い、月経痛がつらい、お腹が出てきて困る、頻尿がある、これから妊娠した時の合併症が心配というような時は手術の対象になります。ほとんどの場合、腹腔鏡で手術を行い、子宮の内腔に出てきた筋腫のみを切除するときには子宮鏡で行います。子宮筋腫のみを切除する子宮筋腫核出術と子宮を摘出する子宮全摘術の両方があり、希望に応じて術式を決めていきます。おなかが膨らむような大きな子宮筋腫にも、多くは腹腔鏡で行うことが可能です。

② 子宮内膜症・卵巣チョコレート嚢胞・子宮腺筋症
月経のときに月経血と共に脱落する子宮内膜が、子宮内腔以外で増殖する疾患で、子宮筋層に増殖したものを子宮腺筋症、それ以外の部位に発生したものを子宮内膜症、特に卵巣内に溶けたチョコレート様の液体が貯まるものを卵巣チョコレート嚢胞と呼んでいます。

子宮腺筋症は、強い月経痛や月経量が異常に多くなることがあり、治療の対象になることが多いです。一時的には、月経を止める偽閉経療法が有効ですが、長期間投与ができないため、手術が必要になることもあります。子宮全摘術と子宮を残す子宮腺筋症核出術があり、ともにほとんど腹腔鏡手術で行います。ただし、子宮腺筋症が子宮筋層全体にわたっている場合に子宮腺筋症核出術を行っても再発しやすいので注意が必要です。

子宮内膜症はおなかの中に癒着をきたして、不妊症の原因になったり、月経痛や下腹痛をきたす疾患で、多くは鎮痛剤、低用量ピルや偽閉経療法などの薬物療法の対象になります。卵巣チョコレート嚢胞は、近年では卵巣がんとの関連も言われており、手術の対象になることが多いです。卵巣と卵管を摘出する付属器摘除術またはチョコレート嚢胞のみを摘出し、卵巣は温存する核出術があります。核出術では、出血を少なくする薬物を卵巣に注射して、不妊治療に影響をきたす卵巣の予備能の減少を最小限にしています。また、卵巣や卵管の癒着を剥離して、妊孕能を高めることも行っています。

子宮内膜症の中でも、薬物でも治りづらい深部子宮内膜症という疾患があります。子宮の近くにある仙骨子宮靱帯という結合組織から直腸や膣の周囲にまで強い痛みを伴うしこりができて、強い月経痛・排便痛・性交痛の原因になります。このような状態は、通常強い癒着を伴い、腸管や尿管などの臓器を巻き込んでいることも少なくないですが、腹腔鏡で病変を除去すれば、かなりの除痛効果があります。

③ 卵巣腫瘍
卵巣腫瘍は前述のチョコレート嚢胞のほかに、奇形腫、漿液性、粘液性などがあり、良性腫瘍であることを確定するには、手術が必要になり、通常は腹腔鏡手術で行います。時に卵巣の茎が捻転して、強い痛みが発生することがありますが、その際の緊急手術にも対応しています。

④ 異所性妊娠(子宮外妊娠)
子宮以外の部位で妊娠している状態で、時に腹腔内に出血が多くなり、強い腹痛をきたし、危険な状態になることがありますので、通常腹腔鏡手術が必要になります。異所性妊娠で最も多い卵管妊娠では、卵管を残し、卵管に残っている可能性のある妊娠の組織を薬物で治療する方法も積極的に行っています。

⑤ 骨盤臓器脱(子宮脱など)
骨盤臓器脱は、膣から子宮や膀胱などの臓器が脱出してくる状態で、排尿障害を伴うことも多く、日常の生活に支障をきたす疾患です。ペッサリーリングを膣内に挿入して脱出をおさえることができますが、リングが出てきたり、リングがこすれて膣から出血が続く場合、手術が必要になります。手術は数通りの方法があり、当院では腹腔鏡下仙骨膣固定術の施設認定を取得し保険診療で行うこともできるので、患者さんの状態に応じた手術を選択いたします。

 診療実績はこちら

II 婦人科腫瘍

婦人科腫瘍は、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、腹膜がん 子宮肉腫 外陰がんの方々の治療を行います。治療ガイドラインなど、根拠に基づく診療を行いながら、患者さんの状態や合併症、社会における役割、ご家族との関係、ご本人の生き方に対する考え方などを治療前から十分に話し合い、それをもって治療方針を一緒に考え決定していきます。そのため、看護師、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、臨床心理士、在宅看護支援看護師など多職種と連携し治療を進めていきます。治療の目標は、もっとも治療効果が高い治療を行い、その結果、治療前の生活を取り戻すことです。治療による後遺症や合併症(リンパ浮腫、排尿障害、ホルモンの低下、骨粗しょう症のリスクなど)が発症した場合、治療後の生活の質の低下や社会復帰が妨げられることがないように、リンパ浮腫外来、女性医学外来などの診療に力を入れています。このような考えに基づき、可能な限り患者さん個々の状態にあわせ、副作用や合併症の少ない治療の選択を行います。北海道という広い特性上、通院に数時間がかかってしまうような遠方の方も多く、地域との連携や緊急の時の対応に備えるよう対応を行います。治療終了後は、再発の有無についての経過観察を行います。治療後についても、治療中と同様に、社会活動、生活について可能な限り支援させていただきます。


婦人科腫瘍の治療方針の詳細はこちらをご覧ください。


対象疾患
子宮頸がん、子宮体がん、子宮肉腫、卵巣がん、卵管がん、腹膜がん、膣がん、外陰がん 他

主に施行している治療
手術、化学療法、放射線治療、内分泌治療、緩和治療、妊孕能温存治療、リンパ浮腫に対する集学的治療、化学療法に対する支持療法

 

子宮頸がん
手術、放射線療法、化学療法を行います。単独の治療や、それぞれの組み合わせの治療を行います(手術と化学療法の併用や放射線治療と化学療法の併用など)。治療方針は、腫瘍の進行期、組織型、年齢などを総合的に考慮し決定します。手術は、子宮頚部上皮内病変の場合は円錐切除術、浸潤がんの場合は開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術などでの子宮摘出を提案いたします。化学療法は、通常の静脈内全身投与のほかに、手術前に子宮動脈より直接子宮に抗がん剤を注入し、全身への化学療法の副作用を軽減しながら、腫瘍に直接作用させることにより、腫瘍からの出血の減少、腫瘍の縮小を行う方法があります。この方法によって腫瘍は縮小し、より侵襲の少ない手術を行うことが可能となります。子宮頸がんの手術は、進行期や腫瘍の状態により子宮の摘出方法が異なり、合併症がそれぞれ異なってきます。子宮を支えている靭帯(基靭帯)まで摘出する広汎子宮全的術を行う場合、排尿機能が低下する可能性があります。手術前に腫瘍を縮小させることで、排尿に関わる自律神経を温存できる手術をより確実に行いやすくなり、合併症の軽減となることが期待されます。 放射線治療の場合、(化学療法を併用することが多い)入院治療または通院治療にて、放射線科専門医師と連携をして治療します。それぞれの社会的な事情などを考慮しながら、約1か月半(状況によって異なります)の治療を継続ができるようにいたします。

子宮体がん
手術、化学療法、内分泌療法を行います。単独の治療や、それぞれの組み合わせの治療を行います。多くは手術が基本治療となり、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術より選択します。手術前の診断でステージⅠA期かつ類内膜癌グレード1または2と診断された方は、リンパ節郭清を省略することができます。ステージⅠB期以上の場合、リンパ節郭清術を行います。リンパ節郭清により術後続発性リンパ浮腫の合併症のリスクがありますが、手術前後より、リンパ浮腫専門スタッフの指導のもと、予防、早期発見につとめます。それにもかかわらずリンパ浮腫が発症した場合は、専門外来にて、集学的治療を積極的に行います。
手術後は、摘出した子宮やリンパ節などの病理組織を確認し、再発リスク検討を行い、必要に応じて化学療法を提案させていただきます。化学療法の副作用(脱毛、倦怠感、しびれなど)に対する支持療法を十分に行い、専門薬剤師による薬剤師外来、緩和医療、臨床心理士などとかかわりをもちながら、副作用軽減につとめます。

卵巣がん・卵管がん・腹膜がん
卵巣がん、卵管がん、腹膜がんは、手術前に病理組織で確定診断を行うことが困難なため、初回手術時に腫瘍を摘出して病理診断を行い確定診断とします。この初回手術時に、術中迅速病理診断を行い、悪性の診断がつけば、子宮卵巣卵管摘出、大網摘出、(リンパ節郭清)を施行します。一方、卵巣癌は症状がでにくく、検診を施行していても、早期発見が難しいがんといえます。お腹の中にがんが散らばってしまう腹膜播種という状態になりやすく、初回の手術で摘出しきれないこと、摘出ができても、腸などの合併切除が必要となり侵襲が大きくなってしまう場合があります。このような、初回手術で摘出が困難な場合、CTガイド下生検または審査腹腔鏡などにて組織の一部を採取し診断を確定します。これらの方法は、体の状態が不良であっても、負担が少なく組織を採取することができます。組織の診断を確定後、術前化学療法行い、お腹のなかに広がった腫瘍を縮小させ、その後、子宮卵巣卵管摘出、大網摘出、リンパ節郭清(必要に応じて腸管、横隔膜、肝臓部分切除などの合併切除)の手術を行います。リンパ節郭清の必要性については、CT検査、PETCT検査、腫瘍マーカー検査などを総合的に評価し提案させていただきます。これは、根治手術といい、すべての腫瘍を摘出することを目標とします。手術の後、通常は化学療法が必要となります。化学療法終了後は、維持療法として、PARP阻害薬(内服)やベバシズマブ治療(点滴)をお勧めします。

子宮肉腫
子宮肉腫は、子宮の筋肉からできる平滑筋肉腫や間質から発生する肉腫などが存在します。手術前に子宮筋腫と子宮肉腫との鑑別は困難なことが考えられ、MRI拡散協調画像による評価や急速に増大する腫瘤などにより診断を疑うことになります。子宮筋腫の手術をしたらその結果肉腫だったとのことで、その後の治療を行うこともあります。基本は手術による子宮摘出です。化学療法は、摘出が困難な腫瘍が存在する場合などに施行します。化学療法は有効だという報告もありますが十分といえず、今後はさらに施行については、個々に検討を行う必要があります。

遺伝性乳がん卵巣癌症候群について
遺伝性乳がん卵巣癌症候群はBRCA1またはBRCA2遺伝子に変化があると、乳がんや卵巣がん、腹膜がんを発症しやすいといわれています。卵巣がんと診断された患者さんのうち17.8%に、卵巣がんの発生や進行と関連のある遺伝子に病的な変異があることが分かりました。BRCA 遺伝子は男女関係なく誰でも持っている遺伝子で、BRCA遺伝子に変化がある場合は、卵巣がんだけでなく、乳がん、膵臓がん、前立腺がんなどを発症する可能性も高まることが知られています。当院では、卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの方にBRCA遺伝子変異の有無を、血液検査で検査をすることができます。また、乳がん発症後などですでにBRCA遺伝子変異があると診断された場合、卵巣卵管がんになる前に腹腔鏡で卵巣卵管を予防的に切除する「リスク低減手術」を行うことができます。前述したとおり、卵巣卵管がんは検診をしていても進行した状態で発見されることがあり、リスク低減手術は卵巣卵管がんの予防にとても重要な役割があると考えられます。その場合、妊娠出産という人生のライフスタイルなど個々の生き方に関与し、卵巣摘出後はホルモン欠落症状(更年期、骨粗しょう症、脂質異常症)などへの不安に対し、さまざまな状況に配慮し、女性医学専門医師や遺伝カウンセラーなどで十分な診療を受けることをお勧めしています。

リンパ浮腫について

婦人科がんや乳がんの手術や放射線療法を受けた後の大きな悩みの1つはリンパ浮腫です。リンパ浮腫が起きると蜂窩織炎という炎症を繰り返してだんだんひどくなり手足が硬く腫れ上がるなど、ひどい変形を起こし日常生活が困難になることもあります。何よりも女性にとって手足が腫れて変形することは耐え難い苦痛です。そのような重大な合併症にもかかわらず現在正式に保険がきく病気としては認められておらず、治療に取り組む医療機関もほとんどなく自己判断で弾性ストッキングやスリーブを着用したり自己流マッサージをするしかないという状態でした。
先進諸国ではリンパ浮腫に対して複合的理学療法を行うことが標準となっています。複合的理学療法とは炎症を防ぐためのスキンケア、リンパ液を流すリンパドレナージ(マッサージ)、圧迫療法、運動療法の4本柱からなっています。どの柱が欠けても充分な効果をもたらしません。また症状の出方は個人差が非常に大きいのでその人に合ったプログラムを行う必要があります。当院のリンパ浮腫外来は2003年1月、北海道初のリンパ浮腫治療専門外来として開設され、現在では北海道内外から多くの患者さんが受診されています。 当科の特色として、外来を担当する医師自らがリンパ浮腫治療セラピストの資格を持ち治療にかかわっております。これは全国的にも例を見ません。そして同様に専門訓練を受けセラピストの資格をもった5名の看護師(2020年4月現在)および理学療法士とチームを組んで治療を行っています。初期治療として3週間程度の集中治療を行い、その後の維持療法としてのセルフマッサージやセルフバンテージ(圧迫包帯)の指導を行います。普段の弾性ストッキングやスリーブも形・サイズ・圧迫の強さ・織り方など様々な違いがあり個人にあったものを選択します。場合によってはオーダーメイドが必要な事もあります。医師・看護師・理学療法士がそれぞれの特性を活かし、他科とも連携をとりながら、総合病院の特質を活かして充実したリハビリ施設を利用した質の高い治療が提供できるように心がけています。私たちは所属するリンパ浮腫治療研究会、日本産科婦人科学会、日本脈管学会などの関連学会を通じ、リンパ浮腫の複合的理学療法の健康保険適用を求めて厚生労働省に働きかけを行っています。

リンパドレナージ
 リンパドレナージ
バンデージ
 バンデージ
圧迫運動療法
 圧迫運動療法
 

 

リンパ浮腫外来

 

セルフケア講習会
リンパ浮腫外来では、皆さんに正しく効果的なセルフケアを継続していただくため、定期的にセルフケア講習会を行っております。講習会では、「外来で習ったマッサージのしかたが自己流になってしまう」「マッサージを忘れてしまった」など、皆さんがお困りのことを気軽に相談できる場にしたいと思っています。

≪お問い合わせ先≫
手稲渓仁会病院リンパ浮腫外来
月・水・金 14:00~17:00 電話/011-681-8111  内線2206

 

ウィメンズヘルス

女性ホルモンは生理や妊娠にだけ関係あるものではなくヒトの健康や若さを保つために必要不可欠なものです。ホルモンの失調や消失(閉経)は様々な健康への害をもたらします。下の図のように女性ホルモンがなくなると更年期障害ばかりでなく全身的な健康への影響が急速に進みます。更年期は自分にとってどのような体への影響がでるのかをチェックする良いチャンスです。若い人の無月経、月経に伴う苦痛や月経前緊張症、更年期障害、閉経後の骨粗鬆症などはいずれもホルモンに関連する疾患ですが、適切な治療を受けられずに悩んでいる方も多いのが現状です。ピルや閉経後ホルモン療法は日本では過度に恐れられている印象があります。人によっては有害な事象が出るリスクもあることは事実ですが、適切な使い方をすれば大きなメリットも得られます。もちろんこれらの疾患に対する治療法はホルモン療法ばかりではありません。それぞれに他の良い薬や漢方療法などがあり、個人に合った治療法を選択することが可能です。当科にはホルモン療法やそれらの疾患のいろいろな治療法に精通した医師がおりますのでご相談ください。

閉経の影響は一生

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● 不妊治療  [不妊治療についての詳細はこちら]

お子さんが1年以上できない場合、不妊症と定義され、何らかの原因が隠れていることがあります。その原因は様々で、調べてみなければなかなかわかりません。当科では不妊症の外来を開いており、まず不妊の原因を検査し、患者夫妻の状態に応じた治療を行って妊娠を目指しています。不妊外来は毎日行っており、勤労で日中受診できない婦人のために夜間外来も開設しています。当院では、不妊に関わる子宮内膜症や子宮筋腫といった疾患の内視鏡手術を数多く行っており、また妊娠後も継続して妊婦検診を行い、分娩後も新生児集中治療室(NICU/GCU)を備えているため、ハイリスク妊娠にも対応しております。体外受精コーディネーターの資格を持った助産師も在籍しておりますので、不妊治療から分娩までサポートして、安心して治療に臨めるような体制を整えております。

Ⅰ 一般不妊

まず、最初の1周期で不妊原因の探索を行います。検査は子宮卵管造影、精液検査、ホルモン検査などを行い、治療方針を検討していきます。排卵障害があれば排卵誘発剤を使用して、超音波検査や尿検査で排卵をモニタリングしタイミングを指導してきます。精液に異常があれば人工授精(AIH)や顕微授精(ICSI)が必要になることもあり、無精子症の場合は精巣内精子採取(TESE)によるICSIが勧められます。卵管の閉塞や癒着、子宮筋腫や子宮内膜症などの不妊の原因となる疾患があるときは、腹腔鏡による手術で妊娠のための環境を整えます。当院では不妊症の腹腔鏡手術を数多く行っており、負担が少ない治療を行えるよう考えております。

Ⅱ 補助生殖医療(体外受精・顕微授精・凍結胚移植)
 

一般不妊治療でなかなか妊娠に至らないときや、卵管閉塞・乏精子症などの場合、補助生殖医療(ART)による治療が勧められます。卵巣から卵子を採取して、受精した胚を子宮内に戻す治療方法で、現代の不妊治療に欠かせないものになっています。当院では2002年よりARTによる治療を開始しており、2,000件以上の実績があります。卵子を採取する採卵は、医師が経腟超音波を用い、麻酔をかけて痛みを感じないようにしてから行います。採取した卵子は、専任の培養士が受精の操作を行い、受精した胚を子宮に移植します。胚移植は麻酔の必要がなく、短時間で終了します。排卵誘発により多くの胚が得られた場合は、急速凍結法(ガラス化法)により凍結して、妊娠のチャンスを広げます。胚の透明帯が厚く、卵の孵化が起こらないために妊娠しづらいと予想されたときは、レーザーを用いて透明帯を切開するアシステッド・ハッチングを行っております。個々の患者さんの状況に合わせて、適した治療法を選択していきます。
当院では着床前診断を開始いたしました。何度も胚移植を行っても妊娠が得られない場合、あるいは均衡型転座により流産を繰り返す場合に、体外受精により得られた胚(受精卵)の一部の細胞を採取し、採取した細胞の遺伝子や染色体を検査し、異常がないと思われる胚を子宮に移植します。詳細は生殖医療ホームページをご参照ください。


着床診断(PGT)についてはこちらをご覧ください。

診療実績はこちら

補助生殖医療・治療費用(自費診療の場合)

診療行為 金額
保険(3割負担の場合) 自費
人工授精 5,460円 11,000円
採卵術 9,600~31,200円
(採卵個数によって変動)
77,000円
(5回目以降44,000)
体外受精
顕微授精
12,600~44,700円

22,000円
胚培養 13,500~40,500円 110,000円
(5回目以降55,000)
胚凍結保存 15,000~39,000円 88,000円
(2回目以降66,000)
胚凍結管理料(1年毎) 10,500円 22,000円
新鮮胚移植 22,500円 44,000円
凍結融解胚移植 36,000円 66,000円
+孵化補助(アシステッドハッチング) 3,000円 11,000円
+高濃度ヒアルロン酸含有培養液 3,000円 11,000円
二段階胚移植   胚移植代+11,000円
精巣内精子採取(TESE)後の精子調整   50,000円
精子凍結/凍結精子保管料   10,000円

これらの他、使用した薬剤や検査の料金がかかりますのでご了承ください。

 

ARTの治療内容は複雑でわかりにくいものなので、当院では資格を持った体外受精コーディネーターが、時間をかけて不妊治療や体外受精について説明し、患者夫妻の治療への不安を解消するようにしています。

 

体外受精コーディネーター外来(予約制)
外来日:金曜日(16:00~17:00)毎週
担 当:中村康子(助産師)、高橋尚子(助産師)、神谷知里(胚培養士)

 

Ⅲ 不妊外来

不妊外来はいつでも通院できるよう毎日行っており、働く患者さんが通院しやすいように、月・水・金曜日は夜間外来を開設しています。基本的に主治医制ですが、主治医が手術等で診療できない時は、外来の担当医が診察します。初診は紹介状無しでも診察いたしますので、お気軽に受診してください。

  午前 午後 夜間(17:30~18:30)再診のみ
和田 和田 輪番医
福士、西島 輪番医  
輪番医 山田 輪番医
福士 福士  
和田、中谷 輪番医 輪番医

※紹介状は不要です。

 

IV がん治療開始前の妊孕能温存の治療

当院では、乳がんや精巣腫瘍などの悪性腫瘍で、化学療法や放射線治療で卵巣や精巣の機能が低下する前に卵子や精子を採取し、凍結保存しています。癌の治療が終了してから不妊治療を行い、妊娠にチャレンジします。詳細は生殖医療のホームページをご覧ください。

「がん治療開始前の妊孕能温存治療について」はこちらをご覧ください。

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●不育症 

当院では、専門家(不育症学会認定医)が不育症の診断や治療にあたり、新たな検査法や治療法も取り入れて成果を上げています。不育症センターのページで詳細をご覧ください。

不育症センターのページはこちら


2回以上の流産や死産の経験があれば、不育症といいます。すでに子供がいる場合でも、2回以上の流産や死産の経験があれば不育症に含めます。流産や死産は、連続していなくてもよいです。特に、3回以上の流産の経験があれば習慣流産とよびますが、これも不育症の中に含まれます。流産は妊娠初期がふつうですが、妊娠10週以降の流産や死産の経験が1度でもあれば、抗リン脂質抗体症候群という不育症の原因・リスク因子の中でもわりに頻度の高い病気を持っている可能性があり、特にその病気には有効な治療法があるため、不育症に準じて検査や治療を行うことをおすすめします。生化学的妊娠を繰り返すケースにも、不育症と同じような原因をもつ可能性がありますので、不育症に準じて検査や治療を行うことをおすすめします。不育症の原因には、ご夫婦の染色体異常に加えて、妻側の要因として、子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常、母体の高齢年齢などがあります。

最近、センター長の山田らは不育症女性227人の23%に、特に原因不明の不育症の20%にネオ・セルフ抗体が陽性となることを発見し、不育症の新たな原因として世界で初めて発表しました(Arthritis Reumatol. 2020)。ネオ・セルフ抗体とは、HLAクラスII分子がミスフォールド蛋白を抗原として提示して、自己抗体ができてしまう新しい免疫の病気です。ネオ・セルフ抗体陽性の不育症では、低用量アスピリンやヘパリン治療によって健康な子供をもつことが可能になると期待され、これまでこの治療法によって健康な出生児がたくさん生まれています。もちろん当院でもネオ・セルフ抗体の検査は可能です。

また、山田らは1993年に世界で初めて、4回以上の流産歴のある難治例の不育症に対して、妊娠初期の免疫グロブリン大量療法(100g、5日間)を行いました。以降、4~14回の流産歴がある不育症女性の71妊娠に妊娠初期の免疫グロブリン大量療法を行い、染色体異常流産を除いた妊娠における生児獲得率は90.0%(52/58)にのぼります。そして最近、山田らのグループは日本全国14施設の共同研究として、二重盲検ランダム化プラセボ対照群間比較試験を実施し、流産歴4回以上の原因不明かつ難治性の不育症に対する妊娠初期の静注免疫グロブリン大量療法の有効性を発表しました。免疫グロブリン大量療法は、妊娠22週の妊娠継続と生児獲得の割合を68%と62%に上昇させ、治療として有効であることを世界で初めて科学的に証明しました。特に、妊娠4〜5週台に投与すると効果が高いこともわかりました。これまで有効な治療法がなかった重症の不育症カップルにとっては朗報となる発見であり、免疫グロブリン大量療法によって健康な子供を授かる機会が増えると期待されます。この研究成果は、2022年6月29日に、英国の医学雑誌 THE LANCET Discovery Science, eClinical Medicine にオンライン掲載されました。当院では自由診療として、この妊娠初期の免疫グロブリン大量療法を行うことができます。

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