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診療科・部門

産科・婦人科

当科の特色

(1) 婦人科

内視鏡手術とがん診療が中心になっています。2018年の総手術数は1,656件であり、そのうち腹腔鏡や子宮鏡を用いた内視鏡手術が1,150件実績となっています。内視鏡手術の利点は何と言っても、傷が小さく、体への負担が少ない点にあります。そのため退院が早く、日常生活への復帰が早いことが特色です。退院までの標準日数は子宮鏡手術で翌日、腹腔鏡手術なら術後3日となっています。腹腔鏡手術は、小さい穴を通したカメラや器械を使っての手術のため、一般の開腹手術とは異なった高度な熟練した技術が求められますが、当科では早くから内視鏡手術に取り組み、内視鏡手術件数は10,000件以上に達しています。これらの豊富な経験の積み重ねを生かし難度の高い内視鏡手術も行えるようになっており、今や内視鏡手術が標準といえます。夜間や緊急の患者さんも、当院では救急体制も麻酔科も充実していますので内視鏡で緊急手術を行う事もできます。

I 良性疾患

良性の腫瘍は、すべてが手術になるとは限りませんが、状況により手術になることも少なくありません。私たちは、良性疾患の手術はほとんど内視鏡手術で行っております。

① 子宮筋腫
子宮筋腫は女性の約20%に見られる疾患で、多くは手術の適応になりません。しかし、月経量が多い、月経痛がつらい、お腹が出てきて困る、頻尿がある、これから妊娠した時の合併症が心配というような時は手術の対象になります。ほとんどの場合、腹腔鏡で手術を行い、子宮の内腔に出てきた筋腫のみを切除するときには子宮鏡で行います。子宮筋腫のみを切除する子宮筋腫核出術と子宮を摘出する子宮全摘術の両方があり、希望に応じて術式を決めていきます。

② 子宮内膜症・卵巣チョコレート嚢胞・子宮腺筋症
月経のときに月経血と共に脱落する子宮内膜が、子宮内腔以外で増殖する疾患で、子宮筋層に増殖したものを子宮腺筋症、それ以外の部位に発生したものを子宮内膜症、特に卵巣内に溶けたチョコレート様の液体が貯まるものを卵巣チョコレート嚢胞と呼んでいます。

子宮腺筋症は、強い月経痛や月経量が異常に多くなることがあり、治療の対象になることが多いです。一時的には、月経を止める偽閉経療法が有効ですが、長期間投与ができないため、手術が必要になることもあります。子宮全摘術と子宮を残す子宮腺筋症核出術があり、ともにほとんど腹腔鏡手術で行います。ただし、子宮腺筋症が子宮筋層全体にわたっている場合に子宮腺筋症核出術を行っても再発しやすいので注意が必要です。

子宮内膜症はおなかの中に癒着をきたして、不妊症の原因になったり、月経痛や下腹痛をきたす疾患で、多くは鎮痛剤、低用量ピルや偽閉経療法などの薬物療法の対象になります。卵巣チョコレート嚢胞は、近年では卵巣がんとの関連も言われており、手術の対象になることが多いです。卵巣と卵管を摘出する付属器摘除術またはチョコレート嚢胞のみを摘出し、卵巣は温存する核出術があります。核出術では、出血を少なくする薬物を卵巣に注射して、不妊治療に影響をきたす卵巣の予備能の減少を最小限にしています。また、卵巣や卵管の癒着を剥離して、妊孕能を高めることも行っています。

子宮内膜症の中でも、薬物でも治りづらい深部子宮内膜症という疾患があります。子宮の近くにある仙骨子宮靱帯という結合組織から直腸や膣の周囲にまで強い痛みを伴うしこりができて、強い月経痛・排便痛・性交痛の原因になります。このような状態は、通常強い癒着を伴い、腸管や尿管などの臓器を巻き込んでいることも少なくないですが、腹腔鏡で病変を除去すれば、かなりの除痛効果があります。

③ 卵巣腫瘍
卵巣腫瘍は前述のチョコレート嚢胞のほかに、奇形腫、漿液性、粘液性などがあり、良性腫瘍であることを確定するには、手術が必要になり、通常は腹腔鏡手術で行います。時に卵巣の茎が捻転して、強い痛みが発生することがありますが、その際の緊急手術にも対応しています。

④ 異所性妊娠(子宮外妊娠)
子宮以外の部位で妊娠している状態で、時に腹腔内に出血が多くなり、強い腹痛をきたし、危険な状態になることがありますので、通常腹腔鏡手術が必要になります。異所性妊娠で最も多い卵管妊娠では、卵管を残し、卵管に残っている可能性のある妊娠の組織を薬物で治療する方法も積極的に行っています。

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II 悪性疾患

婦人科のがんには、主に子宮頚がん、子宮体がん、卵巣がんがあります。がん治療は手術療法・化学療法・放射線療法を単独あるいは組み合わせて行います。当科では日本婦人科腫瘍学会専門医を中心としてがん診療を行っています。手術療法では排尿機能障害やリンパ浮腫などの後遺症が残る可能性がありますが、できるかぎり排尿機能を温存する手術を行うようにするなど、リンパ浮腫の治療にも力を入れております。さらには内視鏡やロボット支援によるがん手術も行っており、体に対する侵襲を少なくするようにしています。腹腔鏡下の子宮体がん手術は、当科が認定施設に認められ、保険診療として行うことができ、経済的な負担も軽くなっております。腹腔鏡下の子宮頸がん手術についても高度先進医療の認可を受けており、混合診療が認められております。

化学療法については、当院では外来化学療法部門を設置し、負担を軽減するようにしており、入院が必要な場合にも、期間を短くして自宅で過ごせる時間を増やせるよう工夫を重ねています。遠方の患者さんには地域の医療機関と連携しての治療も行っています。放射線療法は日本放射線腫瘍学会専門医と協力して治療にあたっています。

がん治療中は、痛みやそのほかのいろいろな苦しい症状が出ることもあるのですが、緩和医療の専門の医師が、患者さんの状況に応じた対処を行い、苦痛を和らげるようにしています。
がんの治療はガイドラインに沿った標準的治療を基本としますが、決して画一的なものではありません。がんの治療にも様々なオプションや組み合わせがあります。そして患者さん個人の人生観・価値観といった部分も大きな要素となります。その方にとって最適な治療は何かということを、話し合いを重ねて選択してゆきます。

(2) 周産期

室内

妊娠中から妊婦さんとお話し合いをしてその人に合った分娩プランを立て、栄養の取り方、生活の仕方や様々な不安などに対し色々とアドバイスを行っています。3室の分娩室はすべて陣痛から分娩まで個室内で行うLDRとなっています。夫の立ち会いはもちろん、ご家族で新しい命の誕生に立ち会うこともできます。アロマセラピーやBGMによる自然な和痛を行いながら分娩まで過ごしていただきます。分娩は個性に合ったフリースタイルを取り入れ、側臥位や四つん這いなどその妊婦さんに最適なスタイルでのお産を行っています。出産されたママにはお祝い膳をご用意しております。

 赤ちゃんの哺育にはいかなる側面からも母乳がベストであることは世界的に認められた事実です。しかし全てのお母さんが簡単に母乳哺育をできるようになるわけではありません。当科の助産師は皆さんが母乳哺育できるよう入院中ばかりでなく退院後も母乳育児外来や電話相談などで様々なアドバイスをいたします。
妊娠は通常は安全に経過しますが、時に母児が様々な妊娠中のトラブルにより危険にさらされることがあります。このような時、ほかの専門科の協力が必要なことが少なくありません。当院はほぼすべての診療科が揃っており、協力してトラブルに対処しています。分娩時に胎児の急変があった場合にも、迅速に麻酔科や小児科と連携をとり対処するシステムをとっています。産後の出血が多く、母体の命が危うい場合にも麻酔科や輸血検査室などの協力体制を整えています。このように他科と協力して、妊娠中に起こる不測の事態に対応することができるので、安心して分娩に臨めます。
当院には、リスクの高い赤ちゃんや早産にも対応できる、新生児のICU(NICU)があり、様々な合併症を持った妊婦さん、異常妊娠やハイリスクな妊婦さんも紹介されてきます。あらゆる病気に対応できる各専門科があり、緊急時にも麻酔科が迅速に帝王切開に対応し、生まれた赤ちゃんはすぐに小児科医が診てくれる、このようなバックアップがあってこそ良いお産に臨めるのだと思います。


(3) 不妊症

お子さんが1年以上できない場合、不妊症と定義され、何らかの原因が隠れていることがあります。その原因は様々で、調べてみなければなかなかわかりません。当科では不妊症の外来を開いており、まず不妊の原因を検査し、患者夫妻の状態に応じた治療を行って妊娠を目指しています。不妊外来は毎日行っており、勤労で日中受診できない婦人のために夜間外来も開設しています。当院では、不妊に関わる子宮内膜症や子宮筋腫といった疾患の内視鏡手術を数多く行っており、また妊娠後も継続して妊婦検診を行い、分娩後も新生児集中治療室(NICU/GCU)を備えているため、ハイリスク妊娠にも対応しております。体外受精コーディネーターの資格を持った助産師も在籍しておりますので、不妊治療から分娩までサポートして、安心して治療に臨めるような体制を整えております。

Ⅰ 一般不妊

まず、最初の1周期で不妊原因の探索を行います。検査は子宮卵管造影、精液検査、ホルモン検査などを行い、治療方針を検討していきます。排卵障害があれば排卵誘発剤を使用して、超音波検査や尿検査で排卵をモニタリングしタイミングを指導してきます。精液に異常があれば人工授精(AIH)や顕微授精(ICSI)が必要になることもあり、無精子症の場合は精巣内精子採取(TESE)によるICSIが勧められます。卵管の閉塞や癒着、子宮筋腫や子宮内膜症などの不妊の原因となる疾患があるときは、腹腔鏡による手術で妊娠のための環境を整えます。当院では不妊症の腹腔鏡手術を数多く行っており、負担が少ない治療を行えるよう考えております。

Ⅱ 補助生殖医療(体外受精・顕微授精・凍結胚移植)
 

一般不妊治療でなかなか妊娠に至らないときや、卵管閉塞・乏精子症などの場合、補助生殖医療(ART)による治療が勧められます。卵巣から卵子を採取して、受精した胚を子宮内に戻す治療方法で、現代の不妊治療に欠かせないものになっています。当院では2002年よりARTによる治療を開始しており、2,000件以上の実績があります。卵子を採取する採卵は、医師が経腟超音波を用い、麻酔をかけて痛みを感じないようにしてから行います。採取した卵子は、専任の培養士が受精の操作を行い、受精した胚を子宮に移植します。胚移植は麻酔の必要がなく、短時間で終了します。排卵誘発により多くの胚が得られた場合は、急速凍結法(ガラス化法)により凍結して、妊娠のチャンスを広げます。胚の透明帯が厚く、卵の孵化が起こらないために妊娠しづらいと予想されたときは、レーザーを用いて透明帯を切開するアシステッド・ハッチングを行っております。個々の患者さんの状況に合わせて、適した治療法を選択していきます。
ARTの費用については、以下のように設定されておりますが、自治体より補助を受けることができ、当院も特定不妊治療費助成(http://www.city.sapporo.jp/eisei/funin/josei.html)の指定医療機関になっておりますので、お気軽にご相談ください。

 

診療実績はこちら

人工授精・治療費用
内容 金額 備考
人工授精 10,000円  1回につき
  
補助生殖医療・治療費用
内容 金額 備考
排卵誘発(投薬・注射・採血 等) 自費(保険点数準用)  
エコー検査 2,000円 1回につき
採卵料 70,000円 5回目以降 40,000円
胚(受精卵)培養 100,000円 5回目以降 50,000円
顕微受精料 20,000円  
新鮮胚移植 40,000円  
2段階胚移植 胚移植代+10,000円  
(採卵後の)初回凍結胚移植 80,000円 胚凍結代金含む
2回目以降 凍結胚移植

60,000円

 
精子凍結/凍結精子保管料(1年間) 10,000円 1年毎に更新
凍結胚保管料(1年間) 20,000円 1年毎に更新
孵化補助
(アシステッド・ハッチング)
10,000円  
精巣内精子採取(TESE)後の精子調整(凍結代含) 50,000円  

※1回あたりの費用はおよそ25万円前後(排卵誘発+採卵料+胚培養+胚移植)です。
※消費税別


ARTの治療内容は複雑でわかりにくいものなので、当院では資格を持った体外受精コーディネーターが、時間をかけて不妊治療や体外受精について説明し、患者夫妻の治療への不安を解消するようにしています。

体外受精コーディネーター外来(予約制)
外来日:金曜日(16:00~17:00)毎週
担 当:中村康子(助産師)、神谷知里(胚培養士)
Ⅲ 不妊外来

不妊外来はいつでも通院できるよう毎日行っており、働く患者さんが通院しやすいように、月・水・金曜日は夜間外来を開設しています。基本的に主治医制ですが、主治医が手術等で診療できない時は、外来の担当医が診察します。初診は紹介状無しでも診察いたしますので、お気軽に受診してください。

  午前 午後 夜間(17:30~18:30)再診のみ
滝本 和田 滝本
福士・都築 輪番医  
小野 輪番医 滝本
福士 福士  
和田 輪番医 輪番医

※紹介状は不要です。

(4) ウィメンズヘルス

女性ホルモンは生理や妊娠にだけ関係あるものではなくヒトの健康や若さを保つために必要不可欠なものです。ホルモンの失調や消失(閉経)は様々な健康への害をもたらします。下の図のように女性ホルモンがなくなると更年期障害ばかりでなく全身的な健康への影響が急速に進みます。更年期は自分にとってどのような体への影響がでるのかをチェックする良いチャンスです。若い人の無月経、月経に伴う苦痛や月経前緊張症、更年期障害、閉経後の骨粗鬆症などはいずれもホルモンに関連する疾患ですが適切な治療を受けられずに悩んでいる方も多いのが現状です。ピルや閉経後ホルモン療法は日本では過度に恐れられている印象があります。人によっては有害な事象が出るリスクもあることは事実ですが、適切な使い方をすれば大きなメリットも得られます。もちろんこれらの疾患に対する治療法はホルモン療法ばかりではありません。それぞれに他の良い薬や漢方療法などがあり、個人に合った治療法を選択することが可能です。当科にはホルモン療法やそれらの疾患のいろいろな治療法に精通した医師がおりますのでご相談ください。

閉経の影響は一生

(5) リンパ浮腫

婦人科がんや乳がんの手術や放射線療法を受けた後の大きな悩みの1つはリンパ浮腫です。リンパ浮腫が起きると蜂窩織炎という炎症を繰り返してだんだんひどくなり手足が硬く腫れ上がるなど、ひどい変形を起こし日常生活が困難になることもあります。何よりも女性にとって手足が腫れて変形することは耐え難い苦痛です。そのような重大な合併症にもかかわらず現在正式に保険がきく病気としては認められておらず、治療に取り組む医療機関もほとんどなく自己判断で弾性ストッキングやスリーブを着用したり自己流マッサージをするしかないという状態でした。
先進諸国ではリンパ浮腫に対して複合的理学療法を行うことが標準となっています。複合的理学療法とは炎症を防ぐためのスキンケア、リンパ液を流すリンパドレナージ(マッサージ)、圧迫療法、運動療法の4本柱からなっています。どの柱が欠けても充分な効果をもたらしません。また症状の出方は個人差が非常に大きいのでその人に合ったプログラムを行う必要があります。当院のリンパ浮腫外来は2003年1月、北海道初のリンパ浮腫治療専門外来として開設され、現在では北海道内外から多くの患者さんが受診されています。 当科の特色として、外来を担当する医師自らがリンパ浮腫治療セラピストの資格を持ち治療にかかわっております。これは全国的にも例を見ません。そして同様に専門訓練を受けセラピストの資格をもった5名の看護師(2019年4月現在)および理学療法士とチームを組んで治療を行っています。初期治療として3週間程度の集中治療を行い、その後の維持療法としてのセルフマッサージやセルフバンテージ(圧迫包帯)の指導を行います。普段の弾性ストッキングやスリーブも形・サイズ・圧迫の強さ・織り方など様々な違いがあり個人にあったものを選択します。場合によってはオーダーメイドが必要な事もあります。医師・看護師・理学療法士がそれぞれの特性を活かし、他科とも連携をとりながら、総合病院の特質を活かして充実したリハビリ施設を利用した質の高い治療が提供できるように心がけています。私たちは所属するリンパ浮腫治療研究会、日本産科婦人科学会、日本脈管学会などの関連学会を通じ、リンパ浮腫の複合的理学療法の健康保険適用を求めて厚生労働省に働きかけを行っています。

リンパドレナージ
 リンパドレナージ
バンデージ
 バンデージ
圧迫運動療法
 圧迫運動療法
 

リンパ浮腫外来

セルフケア講習会
リンパ浮腫外来では、皆さんに正しく効果的なセルフケアを継続していただくため、定期的にセルフケア講習会を行っております。講習会では、「外来で習ったマッサージのしかたが自己流になってしまう」「マッサージを忘れてしまった」など、皆さんがお困りのことを気軽に相談できる場にしたいと思っています。

≪お問い合わせ先≫
手稲渓仁会病院リンパ浮腫外来
月・水・金 14:00〜17:00 電話/011-681-8111  内線2206

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