2022-06-09

手稲渓仁会病院と米国大学病院のつながり

こんにちは。総合内科の増田と申します。

今回は、現在当院が米国の大学病院とどのような繋がりをもっているのか、どのような臨床渡米支援をしているのかについて、紹介したいと思います。

手稲渓仁会病院は、20年以上前から臨床渡米を目指す先生を支援するユニークな環境が整っています。この20年の合計として20人超の臨床留学者を輩出しています。実際、自分が2018年4月に当院で初期研修を開始してから、多くの先輩・同期・後輩が米国での臨床渡米(内科レジデンシー、家庭医療レジデンシー、救急レジデンシー、小児科レジデンシー、血管外科レジデンシー)を実現させました(2022年4月現在)。

私も近い将来米国臨床渡米を目指している身分ですが、臨床渡米を目指している人が他人に言われがちである「臨床留学なんて意味ない」「日本のトレーニングで十分」といった心無い言葉を当院に入職して以来一切耳にしたことがありません。

また、当院での研修・勤務は「USMLE取得や臨床留学のマッチングはハードルが高いけれども、短期間でも米国の医療を体験してみたい」という想いを持つ先生方にも適しています。

(1)米国留学Externshipへの参加

手稲渓仁会病院では米国の提携病院(後述の3カ所)へのExternshipの機会を提供しています。現時点では初期研修2年目は1週間、初期研修3年目(当院独自のPGY3プログラム)の先生は1ヶ月の院外研修が認められています。

Externshipの目的に関しては、将来渡米を目指す医師がUS clinical experienceを得るためだけでなく、「日米の医療の違いを学んでみたい」「臨床渡米やUSMLEはハードルが高いけれども短期間でも米国で研修してみたい」といった動機でも問題ありません。

(2)米国University Hospitalsとの交流

◆University Hospitals Cleveland Medical Center, Case Western Reserve University (CWRU) School of Medicine

OhioのClevelandにあるCWRUの大学病院でExternshipを施行することが可能です(診療科は要相談)。

また、選考基準や要件(※)を満たせば、提携先のCWRUで3年間Internal Medicine Residencyトとして臨床留学できる「Salmons Coming Back Program(別名:UHCMC International Scholarship Program)」というユニークな留学制度を設けています。University-basedのプログラムであり、日本では経験できない貴重な疾患も経験でき、また、Research 活動に従事する機会もあるプログラムです。当院で以下の要件を満たすと、米国のUniversity hospital のプログラムである University Hospital Cleveland Medical Centerの内科レジデンシーのポジションを得ることができます。

※現時点での要件としては以下のとおりです。

  1. ECFMG Certificate 取得者
  2. 院内選考通過者
  3. 院内選考通過後にCase Western Reserve University(CWRU)内科でエクスターン(4週間)を行い、面接を含め、高評価を受けること(ただし、COVID-19の流行状況によってはVirtual interviewに変更する可能性あり)。
  4. その後、マッチングを経てCWRUに正式採用。
  5. 他条件(勤務時間・ローテーション内容等)は他一般レジデントと全く同じ。
  6. レジデンシー修了後は米国内科専門医を取得でき、フェローシップへの応募以降も同条件。
  7. 専門研修を含む米国での全研修を終了後、手稲渓仁会病院で5年間の勤務義務あり。

*要件に関しては随時変更の可能性があります。

◆University of Texas Medical Branch at Galveston (UTMB)

2022年5月を以て、UTMBと提携が結ばれました。UTMBへの院外研修が可能になっただけでなく、2022年8月よりUTMBからさまざまな診療科(Internal Medicine, Family Medicine, Pediatrics, General  Surgery, OBGYNなど)から医師(Attending, Fellow, Chief Residentなど)が1~数カ月単位で当院をローテーションし、教育活動に従事してくださることになりました。教育回診やカンファレンスでの症例ディスカッションも開催されるほか、国際学会発表の準備、米国Residency/Fellowshipの準備など、さまざまなサポートをしてくださる予定です。

(写真提供:UTMB Vascular Surgery Residency 塚越隼爾先生)

◆University of Hawaii (JS Program)

2022年4月よりハワイ大学外科教授の町淳二先生が創立された一般社団法人JrSr(ジュニアシニア)との提携を開始し、JSプログラムの対象病院となりました。JS Program はUSMEL取得および海外臨床研修やフェローシップを目指す若手医師向けの研修プログラムです。ハワイ大学関連病院への臨床見学を実施しており、JSレジデントとして当院に勤務をするとUniversity of HawaiiへのExternshipに参加することが可能です。現在は、総合内科と提携を結んでいますが、今後、提携診療科が増えていく予定です。

このように、米国大学病院との交流の機会にも恵まれる点は、当院ならではと思います。

もしご興味を持った方は、気軽に見学に来ていただければと思います。