2020-04

様々なプレゼンテーションのかたち 〜学会発表の経験を通して〜

こんにちは。PGY3(研修医3年目)の藤澤まりと申します。私は2年間の初期研修は修了しましたが、専攻医プログラムにはのらず、卒後3年目として残りました。実はこれも当院の特色の一つです。この一年は自分の周りたい科を自由に選び、将来目指す医師像に近づくためのモラトリアム期間のような使い方ができます。

 さて、札幌は本日ようやく桜の開花が報じられました。春の訪れを感じる手稲よりお届けします。

 当院の初期研修プログラムには、日常診療を通してプレゼンテーションを指導して頂く機会が多くあります。プレゼンテーションと一言で言っても、他科の先生へ行うコンサルトでのプレゼン、回診時に行う簡易プレゼン、新患に関するフルプレゼン、そして学会発表でのプレゼンと、TPOによって全く異なります。そこで、今回は学会発表でのプレゼンについて取り上げてみたいと思います。

 当院は、学会発表をすることを応援してくれる先生が本当に多く、私自身は初期研修中の2年間で、国内学会にて2回の口頭発表と、国際学会にて1回のポスター発表を行う機会を頂きました。学会の口頭発表は聴衆も多く、発表時間は厳密で、壇上では孤独で助けてくれる仲間はいません。ただ、発表まで時間があるので、準備にも時間をかけることができます。その点は、人によっては院内でのプレゼンより緊張しない方もいらっしゃるかもしれませんね。会場にもよりますが、私が経験したものは100人程度のホールで、参加者の多くが医師であり、発表の中には他の医療従事者や企業等を対象としたプレゼンもあります。

 口頭発表は制限時間との戦いです。いかに自分の伝えたいことをわかりやすく、簡潔に、聞き手の印象に残るように話をできるかを常に意識する必要があります。私にとって最初の学会発表は1年目の冬。症例は5月に受け持った患者さんで、秋に「まとめて、学会に出してみないか」と指導医より電話をもらったのがきっかけでした。初期研修医中に学会発表を経験したいと思っていたため嬉しかったのですが、自分としては新規性に気づけていないまま準備に入ってしまいました。振り返るとここが反省点で、その後に苦労することとなりました。

 学会発表は抄録を作成し学会に投稿するところから始まり、抄録が採択されたらスライド作成に取り掛かります。しかし、期間が十分にあったにも関わらず中々準備が進みません。その理由は、自分の中で何を伝えたいかが全く決まっておらず、漠然と文献を調べたり、スライドを作成していたからでした。そんな私の中の“もやもや”に気づき、指導医が声をかけてくれました。「藤澤は、そもそもこの発表で何を伝えたいの?」に対し、自分がどういった矛盾を感じていて、こんなことから気乗りしないという思いを吐露しました。そこから私の中の“もやもや”は一気に解消され、無事にスライド作成が進み、自信を持って本番で発表ができました。本来であれば学会発表を決断する前に自分で追求すべき点を、私は指導医の手を借りて行いました。これが、私にとって初めての学会発表の経験でした。

 こんな風にたくさんの方々に助けられながら、研修医の学会発表は出来上がっていきます。どうですか?皆さんも学会発表やってみたいな、とお感じになったでしょうか。相談できる指導医の層の厚さとそれぞれの指導力が当院での初期研修の自慢ポイントと私は思います。

 COVID-19の影響で当院への病院見学が2月25日より停止となっており、私たち初期研修医も残念な気持ちでいっぱいですが、ブログを通じて少しでも手稲渓仁会病院の雰囲気を味わって頂きたいと思います。見学が再度可能となった時には、みなさんをお待ちしています。

オンライン外科勉強会のお知らせ

英語と外科に興味がある医学生を対象に、2019年1月より毎週火曜日21時から22時まで、オンライン勉強会を開催しています。医学生ならどなたでも参加可能です。テキストはSpringer社の『Surgery-A Case Based Clinical Review』を用いて毎週1章ずつ進みます。英語の症例問題を事前学習し、勉強会の時にみんな集まって学んだ知識を確認します。会自体は主に日本語で行っています。自由参加なので、学業やアルバイトなど他のことで忙しい時はそちらを優先してください。堅苦しくない楽しい会を目指しています。私も、一緒に勉強することで多少でも皆様のお役に立てればと思っています。

ご参加希望の方は、今村清隆(imamura-ki@keijinkai.or.jp)まで

オンライン外科勉強会のご案内:
–【視点】全国の医学生が英語で学ぶオンライン外科勉強会
(医学書院 週刊医学界新聞 第3329号 2019年7月8日号)
–【対談】地域発、外科医の教育戦略
(医学書院 週刊医学界新聞 第3346号 2019年11月11日号)

*なお、外科後期研修医向けには、米国外科専門医試験の問題集を使ったオンライン勉強会を毎週土曜日朝7:30から1時間で開催中です。そちらもよかったら情報をシェアして下さい。希望ある方は、ご連絡いただければ参加方法をお伝えします。

WEBINAR VOL.8:Web講演会のお知らせ

みなさま、こんにちは。いつもWeb講演会にたくさんのご参加をいただきありがとうございます。

 5月16日(土)9:00~、当院の初期研修卒業生の坪谷透先生のWeb講演会を開催します。研究留学や社会医学に関心がある方は是非ご参加ください。もちろん無料です。たくさんのご参加をお待ちしています。

参加申し込みはこちらからお願いいたします。

外科 今村

2019年度の臨床研修修了式

こんにちは。TKHレジデントブログチーム事務局の南木と申します。いつも臨床研修部ブログをご覧いただきありがとうございます。ブログを立ち上げて半年が経ち、嬉しいことに閲覧数も着実に伸びて参りました。引き続き、2020年度もどうぞ宜しくお願いいたします。

 例年3月、2年間の初期研修修了を祝し、札幌市内中心部のホテルで盛大に行っている臨床研修修了式典と祝賀会。多くの参加者の中で、2年間の研修やさまざまな思い出を振り返り、未来に向かって羽ばたく研修医それぞれの言葉、そして研修を支えてきた指導医から研修医一人ひとりに贈られるメッセージ等、とても盛りだくさんの内容です。見送る1年生も、来年そこに立つ自身をイメージして、この1年間研修に励んで来られたと思います。
 新型コロナウィルスの動向が気になりながらも、臨床研修部事務局は今年もホテルの方と打ち合わせをし、準備を行っていました。そうした中、2月中旬にはじめて地元北海道札幌市から感染者が出て、その後道内の感染者数がどんどん増えていきました。2月28日には、ついに1日の感染者数の報告が2桁となり、北海道知事より緊急事態宣言が発出されました。これを受け、関係者で協議を行った結果、私たちは医療従事者としてホテルでの開催を断念し、院内で修了生のみが参加する修了証授与式を執り行うことといたしました。今回は、3月14日(土)に開催した院内での臨床研修修了式についてご報告いたします。

会場は100名収容の当院の会議室。全員制服でマスクを着用し集合。

 参加ができなかった研修医1年生と指導医の先生方には、臨床研修委員会コアメンバーの外科 今村清隆先生がzoomでオンライン中継。

はじめに、院長の成田吉明先生よりご挨拶。

 次に、17名の修了生に修了証書の授与。

そして、Resident Award 発表&証書授与
「Outstanding Intern」に選ばれたのはチーフレジデントの中溝晃規先生。プレゼンターの臨床研修部部長の星哲哉先生と固い握手。

 「Best Teaching Resident」のお一人に選ばれたのは、同じくチーフレジデントの寺田悠里子先生。

 そしてもう一人、1年生から河村翔平先生が選ばれました。
 後日、証書が授与されました。

 出席が叶わなかったDr.Cammackからは、zoomを介して2年間がんばった研修医全員にあたたかいメッセージが届けられました。

 閉会のご挨拶は、渓仁会グループ理事長の田中繁道先生。この後、当グループ内に発信される理事長メッセージの中で、コロナウィルスの影響で、盛大な会で送り出してあげられなかったことが大変残念であったと、思いがつづられていました。

 最後に全員で記念撮影。

 いつものドレスコードの集合写真もよかったのですが、白衣での撮影は修了式らしく、来年も行えたらと思いました。

 2月から、私たち職員全員はコロナウィルスから患者さんと病院を守るため、日常業務に加えてさまざま対策に当たっていました。式典中止の決定から2週間、準備もままならず小さな修了式となってしまいましたが、2年生の先生たちは「式自体もなくなるのでは?」と思っていらしたようで、このような会でも開催できたことをとても喜んでくれていました。帰り際、「開催してくれてありがとうございました。逆に院内でできてよかったです!」との言葉をかけていただき(涙)、私たちにとっても忘れられない修了式になりました。ホテルのお弁当を片手に、笑顔で会場を後にする卒業生を見送った事務局でした。

Thanks for all residents. Good luck.