2023-07

UCSF Rabih Geha先生が来日

初期研修医2年目の三瀬です。今回は、6月の総合内科のローテーション中にアメリカからRabih Geha先生が来日され、直接指導していただける貴重な機会がありましたので報告させていただきたいと思います。

Geha先生はUCSF (University of California, San Francisco)のAssistant professorであり、またClinical Problem Solversというオンラインコンテンツを通じて全世界の若手医師に臨床推論教育を行っている、Clinical reasoningのスペシャリストです。当院の朝のモーニングレポートでも、研修医が発表する症例に対して、共にディスカッションしていただいている先生です。

私が抱いた第一印象は、「なんて優しそうな人なんだ」でした。今までも画面を通じて、彼からは優しさはあふれていましたが、直接話してみると会話の一つひとつに思いやりを感じました。

Geha先生とのローテーションでは、朝のカンファレンスから始まります。新たな入院患者さんについてのプレゼンテーションと、入院中の患者さんのプレゼンテーションを英語で行います。そのあとに、Geha先生より各患者さんのメインの問題に関するレクチャーがあります。このレクチャーは、彼の知識の奥深さを感じるだけでなく、常に新たな発見がある刺激的な講義でした。その後、一緒に病棟回診をするのですが、そこでもGeha先生に驚かされました。診察に関しての質問をさせていただくと、診察についてどこに着目するかだけでなく、今後の方針についての助言であったり、日本とアメリカの医療における違いなど、期待した以上の回答が得られ非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。

Geha先生とのカンファレンスの様子

Geha先生から学んだことは、大きく二つあります。一つ目は、診断に対するアプローチの仕方です。日々診療していく中で、ただ鑑別疾患を上げるだけでなく、その鑑別疾患を上げるためにカテゴリーで分類し、思考過程をたどるプロセスをとることで漏れのない鑑別を上げていくことが可能になるのだと、改めて再確認することが出来ました。

二つ目は、学びに対する姿勢です。日々医療が進歩していくなかで、知識を更新し続けることは不可欠です。一方で、限られた時間の中での効果的に学び続けていくことは時として困難となることもあります。彼は、日々学び続けているだけでなく、自身がさまざまな教育の場を提供しています。私たちのモーニングレポートもしかり、このような場で学びをアウトプットしていくことで知識がより強固になっていくのだと感じました。

間近で彼の知識の深さや、教育に対する熱心さを経験することができ、これからの医学に対するとらえ方が大きく変わりました。1週間あまりと短い期間でしたが、かけがえのない貴重な経験をすることができました。

総合内科研修

医学生のみなさま、こんにちは。総合内科 医長の中村と申します。

今回は、当院の総合内科の診療内容や研修の特徴について紹介させていただきます。

・診療内容

総合内科は、将来進む専門分野を問わず、内科領域全般にわたる知識と技能を持った医師を育成する科として2001年に新設されました。現在、総合内科には、内科学をベースとして家庭医療やリウマチ・膠原病、循環器内科、血液内科、老年科など様々なバックグラウンドを持つ医師が在籍し、感染症やリウマチ・膠原病、内分泌疾患など幅広い疾患の診療を行っています。

感染症診療については、一般的な感染症のみならず、感染症科と密に連携して多臓器にまたがる感染症や膿瘍などの複雑なマネジメントを要する感染性疾患も診療しています。また、当院は高次機能病院であるため、非典型的な感染性心内膜炎やライム病、梅毒など稀な感染症もしばしば診療する機会に恵まれています。当院は道内ではいち早くマルチプレックスPCR(FilmArray)による核酸同定検査を導入し、感染症の早期診断や原因菌同定に大きな成果を挙げています。

リウマチ・膠原病診療については、当科にはリウマチ学会の指導医1名、専門医2名が在籍しており、専門性の高い医療を提供しています。関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎といった関節疾患については、関節エコーを積極的に活用し、生物学的製剤や分子標的治療薬を用いた治療を行っています。SLEや皮膚筋炎、血管炎などの膠原病については、常に最新の知見を取り入れ、最善の医療を提供できるよう努めています。

その他、糖尿病や甲状腺疾患といった内分泌・代謝疾患や電解質異常など、当院の各専門診療科では対応できない疾患の診療も当科が担っています。

一方、超高齢社会を迎えた我が国では、高齢者医療のニーズが高まっています。高齢の患者さんは複数の疾患を併せ持ち、Multimorbidityとも言われるようにその病態やマネジメントはしばしば大変複雑なものになります。当科では高齢の患者さんも多いため、医学的・社会的複雑性に配慮してバランスの取れた診療を行うよう心がけています。

・研修の特徴

1.英語でのグローバルな臨床教育

当科では、業務提携を結んでいる米国テキサス大学より指導医を招聘し、日々のカンファレンスを英語で行っています。カンファレンスでは研修医・専攻医が英語でcase presentationを行い、その内容をもとにディスカッションを行うことで、双方向性の英語臨床教育を実現しています。また、米国流の臨床的アプローチやコミュニケーション、指導方式に触れることで、臨床医としての視野が広がり若手医師の成長に繋がっています。

米国人医師との病棟回診の様子

2.万全の指導体制

上述のように当科にはさまざまなバックグラウンドをもった医師が在籍しており、幅広い疾患に対応可能です。研修医―専攻医―指導医の屋根瓦体制を基本とし、常に指導医が病棟業務に従事する体制を構築していますので、いつでも上級医に相談できる体制が整っています。きめ細かい指導のもと、安心して病棟診療にあたる事ができます。

3.学術活動

当科には学術的にも貴重な症例が多く、近年は若手医師の学会発表・論文執筆の支援にも力を入れています。昨年は10演題、今年はこれまでに9演題の学会発表を行いました。海外学会にチャレンジする若手医師も多く、2022年はスペインで開催されたEuropean Congress of Internal Medicineに、2023年はアメリカで開催されたSociety of General Internal Medicine Annual Meetingに参加し症例報告を行いました。

このように、総合内科では幅広い疾患を診療しつつ、感染症やリウマチ・膠原病領域に関しては専門性の高い医療を提供しています。他に類を見ない英語での臨床教育を実現し、国内では唯一無二の総合内科といえます。いつの日か、皆様と一緒に働けることを楽しみにしております。

総合内科 中村海人

第5回家庭医療クリニック 学生・研修医向け勉強会のお知らせ

こんにちは、手稲家庭医療クリニックの専攻医小橋川と申します。
手稲家庭医療クリニック(愛称 かりんぱ)では、定期的に学生・研修医向けの勉強会を行っています。
第5回のテーマは「臨床推論+家庭医療tips」です。実際のかりんぱの外来であった症例を通して、鑑別の考え方に加えて家庭医的な視点の両方をみんなで学んでみましょう!
開催概要は以下のとおりです。

■日時 2023年7月26日 (水) 20:00~20:30(30分予定)
■対象 医療系学生 初期臨床研修医
■場所 Zoomによるオンライン開催 申込者には自動返信でURLをお送りします。
■申し込みは こちら から