1.はじめに
救急部門は1997年に専従医を配置して院内診療部門として独立し, 2005年3月23日に新型救命救急センターとして正式認可を受け,2005年4月1日から,当院救命救急センターを基地病院として北海道ドクターヘリの正式運航が開始され,道央圏における中心的な救命救急センターとしての重要な役割を担っています.2007年5月より新しく完成した新救急棟に救急関連部門を集約して診療を始めました。
2.診療方針
当院は重症患者だけを受け入れるのではなく,軽症,中等症患者も受け入れています.年間約2万~3万人近くの救急患者が来院するため,救急部門だけで全ての救急患者の診療を行うのは困難であり,病院全体で救急医療を行っていくというのが基本方針です.しかし,救命救急センター指定後,救急車で搬送される患者はやや減少傾向ですが,入院率は上昇し、重症患者の頻度が増加しています。
それに伴い、種々の理由(入院ベッド特に重症病床不足,救急外来が多忙で対応不能,スタッフ不足等)で受け入れができなかった患者数が増え.これは当院の大きな課題であり,解決に向けて対策が必要と考えています.新救急棟が完成し,救急外来スペースの拡張,救命救急センター病床,ICU,手術室の増床を行いましたが.入院病床の確保が困難な場合が多く、スタッフ不足等の問題もあり、不応需は必ずしも減少してはいません。今後は、救急診療システム全体の見直しが必要と思われ,地域の要望に十分応えられる救命救急センターにしたいと考えています.救急部門として最優先事項はやはり、高度救命救急医療を展開し,重症患者(特に一般総合病院では救命困難な最重症患者)を救命することです.その目標実現のためには、更なる、努力が必要と考えています。
3.診療システム
救急部は現在,専属医師10名で運営しています(後期研修医を含む).当直医を2~3名置き,救急部医師の役割は救急車搬送患者の対応,walk in患者のなかで緊急性を要する患者や外因性疾患の患者の診療にあたっています.内因性のwalk in 患者の診療は日直医(内科系医師),研修医当直が診療にあたり救急部当直医や各当直医(消化器センター,心センター,脳神経外科,小児科,外科, ICU各1名)がバックアップする体制をとっています.従って,日・祝日・夜間当直帯にも院内には常時,10名以上の医師がおり,原則的にほとんどの疾患・外傷に24時間対応可能です。
現在、救急部では搬送患者の初期評価・治療を中心に行い,診断が確定し入院治療が必要であれば,各診療科に振り分けますが、多発外傷,中毒や診断不明の重症患者などは救急部管理下で入院治療を行っており,診療科としての入院管理機能強化も行っていきます。
病院の救急外来診療システムの基本的な方針はwalk in患者(疾病)の診療は内科を中心に,重症患者等の救急車搬送患者と外傷患者を救急部が,小児患者(疾病)は小児科で行うこととしていますが,現状ではスタッフ不足等,種々の問題があり,実現していません。今後の体制作りが大きな課題と考えています。
4.患者数
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2005年
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2006年
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2007年
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| 救急車 |
4929 |
4787 |
4524
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| 独歩 |
21,573 |
21,033 |
19,455
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| 合計 |
26,502 |
25,820 |
23,969
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救急車による患者は減少傾向に有りますが,逆に,搬送患者の重症度は高くなっており.昨年、心肺停止(CPA)患者は185名でした。
5.救急医の養成と当院が目指す形
当院では後期研修医を以前より募集していますが、2009年度から新たに初期研修で救急コースを創設して、救急医を志す医師を育てていく予定です。後期研修医コースは救急科専門医を目指す3年のカリキュラムを組んでおり、ICU研修を必修とし、希望する他科研修を行い「病気、怪我、火傷や中毒などによる急病の患者さんを診療科に関係なく診療し、特に、重症な場合は救命救急処置、集中治療を行うことができる救急医」を目指します。必要であれば、各診療科と連携して診療にあたる事も重要と考えています。他の専門医から、救急医への転身も大歓迎で、救急分野の中で、救急の枠の中で、救急に詳しい各専門医が果たす役割も大きいものと考えます。
また、救急医療制度構築、メディカルコントロール体制、災害医療に熟知し、一般社会と接点のある分野でも指導的な役割を積極的に担うべきで、当院で運航しているドクターヘリ業務はその中心となるものです。
今、話題の救急外来だけに関わる北米式の「ER医」は日本の診療システムに必ずしも馴染むものではなく、入院管理や治療に関わることのできる「日本式救命救急センター」を構築し、その中で中心となる救急医が必要です。今後はその中でも外傷の診療システムの構築は重要と考え、「防ぎ得た外傷死」を少しでも減少させることが必要です。
6.ドクターヘリ
2005年4月から始まった北海道ドクターヘリは,四年目を迎え、2005年度261件、2006年度は389件,2007年度453件の出動がありました。また,現在運航しているエリアでは地域の救急医療システムにとっていまや必要不可欠なものとなっており,ドクターヘリをどのように北海道内他地域にも広げていくかが北海道全体の大きな課題と思われます。
また,現状ではドクターヘリに対する理解が必ずしも十分に浸透しているとは言えず,引き続き啓蒙活動も重要と考えています。北海道唯一のドクターヘリ基地病院として、社会にその必要性を発信していく義務があると考え、積極的に講演活動やシミュレーションを行っています。 現在出動医師は当院救急部のスタッフだけでなく,北海道大学救急・集中治療部と札幌医大高度救命救急センター医師もドクターヘリに搭乗しています。地域で支えるドクターヘリとして今後も、北海道の救急医療のために活動していきたいと思います。