ACP
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは?
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、将来自分が病気やけがなどで意思を伝えることが難しくなった場合に備えて、あらかじめ自分の医療やケアに関する希望を考え、家族や医療提供者と共有するプロセスのことです。このプランニングにより、個人が自分の価値観や希望に基づいた医療を受けることができるようになります。
具体的には、以下のようなステップで進められます。
- 情報収集自分が将来直面する可能性のある医療状況について学び、利用可能な治療選択肢について理解を深めます。
- 価値観の考察自分にとって何が大切か、どのような状況でどのような治療を受けたい(または受けたくない)かを考えます。
- 意思決定自分の価値観に基づいて、具体的な医療やケアに関する意思決定を行います。
- 意思の共有考えたことを家族や医療提供者と共有し、必要に応じて文書にまとめます。
- 定期的な見直し時間が経過するにつれて、希望や状況が変わる可能性があるため、定期的にACPを見直し、更新することが重要です。
ACPは、自分自身だけでなく、家族にとっても予期しない医療の決断を迫られる負担を軽減し、意思の不一致や混乱を防ぐ効果があります。また、医療提供者にとっても、患者の意思に沿った適切なケアを提供するための重要な手がかりとなります。
なぜ今ACPが重要なの?
ACPが今、特に重要視されている理由はいくつかあります。
高齢化社会の進行
医療技術の進歩
自己決定権の尊重
医療資源の適切な配分
医療資源は限られています。ACPによって、個人が望まない医療の過剰な提供を避けることができれば、より必要としている人に医療資源を適切に配分することが可能になります。
家族や医療提供者の負担軽減
患者が自分の意思を明確にしておくことで、家族や医療提供者が緊急時に患者に代わって決断を迫られる負担を軽減できます。これにより、後悔や家族間の意見の不一致を防ぐことができます。
これらの理由から、ACPは個人の尊厳を守り、質の高い医療を受けるための重要なツールとして認識されています。
当院の取り組みについて
当院は、患者様一人ひとりの尊厳と意思を尊重し、質の高い医療提供を目指しています。その一環として、ACPの普及と実践に力を入れています。ACPは、将来、自分が意思を伝えることが難しくなった場合に備え、自分の医療に関する希望を事前に家族や医療提供者と共有するプロセスです。
当院のACP取り組みの特徴
専門スタッフによるサポート
当院では、ACPに関する相談を専門に行うスタッフを配置しています。患者様やご家族からの質問に丁寧に答え、ACPのプロセスをサポートします。
情報提供と教育
ACPについての正しい理解を深めていただくために、パンフレットやウェブサイトを通じて情報提供を行っています。また、定期的に患者様やご家族向けの説明会やワークショップを開催し、ACPの重要性や具体的な進め方について学んでいただいています。
意思決定のサポート
患者様が自分自身の価値観に基づいて、医療に関する意思決定を行えるよう、医師や看護師が一緒になってサポートします。必要に応じて、倫理委員会のアドバイスを受けながら、患者様一人ひとりに合わせたケアを計画していきます。
文書化と共有
患者様の医療に関する希望は、文書に記録し、医療チーム内で共有します。これにより、緊急時にも患者様の意思が尊重されるように努めます。
定期的な見直し
患者様の状況や希望に変化があった場合に備え、定期的にACPの内容を見直し、更新する機会を提供します。
当院では、ACPを通じて、患者様が自分らしい人生の終末期を送れるようサポートしています。患者様やご家族の方々が不安を感じることなく、自信を持って将来の医療に関する意思決定ができるよう、全スタッフが一丸となって取り組んでまいります。
患者様やご家族からのご相談を心よりお待ちしております。