薬剤部 お薬のお話
医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院

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5「治験」

治験とは何でしょうか

「薬の候補」が、「薬」として国に認めてもらうために行う臨床試験のことです。新薬の開発には、長い期間と膨大な費用がかかります。初めは実験室の中で試験が行われ、効果が確かめられるとまず動物での試験となり、次に人に対する臨床試験によって有効性と安全性が確かめられます。

治験にも段階があり、健康な人を対象にした試験、少数の患者さまを対象とした試験、そして多数の患者さまを対象とした試験と段階を踏んでいきます。今、薬として承認されている全ての薬はこの治験を行っています。

病院はどのようにして治験を行うのでしょうか

製薬会社は治験を行うにあたってプロトコール(治験実施計画書)を定めます。プロトコールには、治験の目的や方法などが事細かく定められています。治験は基準に適合した医療機関に製薬会社が依頼して行われます。症例の少ないがんに対する抗がん剤の治験であれば専門の医師と対象となる患者さまが通院されている病院が選ばれたり、一般的なかぜ薬であれば総合病院だけでなく、かかりつけ医のいるようなクリニックが選ばれることもあります。

当院においても、医師は医学の進歩により協力したいという気持ちから治験を引き受け、積極的に取り組んでいます。場合により患者さまにも、最先端の薬学研究の成果を享受できるというメリットがあります。

治験への参加をすすめられたら

患者さまがプロトコールに定められた条件に合致した場合、医師から治験への参加をすすめられることがあります。もちろん断っても、途中で止めても、一切不利益はありません。治験に参加するには、医学の進歩に協力したいという気持ちを医師と共有していただくことが望まれます。

治験に参加すると、通常の診療と比べ、検査の回数や種類が増えたり、薬を服用する決まりが厳密になるなどの違いがあります。当院の治験管理センターでは、治験が適正に行われるように、治験の進行をサポートするスタッフが治験薬の服用方法を説明したり、診察や検査に立ち会うなど、治験に参加される患者さまへの対応を行っています。

手稲渓仁会病院 治験管理センター 薬剤師