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24「頻尿症の薬」

頻尿症はどのような原因で起こるのでしょうか

頻尿症とは、頻繁に尿意を感じ、トイレに行く回数が増える症状です。原因は、膀胱の活動が活発になりすぎて起こる過活動膀胱や男性特有の症状として、膀胱の近くにある前立腺が大きくなる前立腺肥大症によって尿道や膀胱が圧迫されて起こるものが代表的です。この他、膀胱の炎症や糖尿病、腎臓病などの病気によっても起こることがあります。

重大な病気によって頻尿の症状が発生している場合は別ですが、頻繁にトイレに行く方でも、ご本人が不都合を感じていなければ、あえて治療を行わない場合もあります。夜間に何度も起きてトイレに行くなど、日常生活に支障をきたしている方は治療の対象となる可能性があります。

どのような薬がありますか

過活動膀胱では「抗コリン薬」または「β3刺激薬」が使われ、いずれも膀胱に指令を出す神経に作用する薬です。抗コリン薬やβ3刺激薬は膀胱の平滑筋をゆるめて膀胱にたくさん尿がたまるようにする薬です。

前立腺肥大症が原因となっている頻尿症の場合は、「α1受容体遮断薬」が使われます。これは尿道の圧迫を解消する薬ですから、一見頻尿症には逆効果のように思えます。大きくなった前立腺が膀胱を圧迫し、尿が出にくくなっていると膀胱は力を入れて尿を出そうとしますから、結果として頻繁な尿意につながります。α1受容体遮断薬は尿の流れをスムーズにすることによって尿意を抑えるものです。症状に応じて抗コリン薬と併用されることもあります。

副作用などはいかがでしょうか

β3刺激薬には注意を要する目立った副作用は知られていませんが、抗コリン薬は喉が渇きやすくなる、腸の働きを抑えるため便秘を起こしやすくなるといった副作用があります。対症療法として下剤をあわせて使う場合があります。α1受容体遮断薬は血圧を下げる作用があるものもあるため、この薬を使う場合は血圧の管理に注意を払うことが求められます。

他に注意することがあれば教えてください

症状が改善したからといって自己判断で薬の服用を止める方がいますが、必ず医師に相談してください。また、病院に通わずに市販薬を利用されている方も少なくないと思いますが、頻尿症の陰には重大な病気が隠れている場合もありますので、市販薬で症状が改善されない場合は、病院での受診をおすすめします。市販薬を使われる場合も、症状に合わせたさまざまな薬が出ていますので、薬局の薬剤師に相談してみてください。

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