作業療法で卵焼き作り🐓

新着情報 老健

先日作業療法の一環として『卵焼き』を作りました。

 

卵焼きにしたのは、ご本人から真っ先にでてきた案だったからです。

『こんなのしばらくぶりだよ~』とおっしゃっていましたが、

長年ご自宅で作ってこられていたので、しっかり体が覚えていました。

 

焼き加減をみて、卵を手前に寄せてから奥に流し込む。

熟練の技を見ました!

出来た卵焼きは最高の火加減で、とっっっっってもおいしくできました!!✨

 

 

 

片づけまでが料理です!

食器洗いは立ちながら手をうまく使う練習にもなります。

 

 

ということで今回は当施設で行った作業療法をご紹介しました。

 

 

・・・ちなみに、この記事をご覧のみなさま。作業療法って言われてピンときますか?

せっかくなので、少し作業療法についてお話させてください。

 

調理や買い物など複雑な内容の生活動作を専門的にはIADL(手段的日常生活動作)といいます。

また、排泄や食事、移動など日常生活を送るための基礎的な生活動作はBADL(基本的日常生活動作)といいます。

 

IADLはBADLよりも複雑な要素で構成されているものであるため、個人差が大きくなります。

文化や信念、性格、時間など様々な影響を受けてやり方や工程は”その人らしい”ものになり、個人を形作っていきます。

しかし在宅生活から受傷などにより入院・入所生活に移ると、多くの場合IADLにかかわる機会や必要性から切り離されてしまいがちです。

一方、BADLは介助を受けたりしながらでも完全に切り離されることはあまりありません(病状次第ですが)。

 

入院・入所前まで自分を自分たらしめていたIADLから急に切り離されてしまうと心が安定しづらくなってしまいます。

きっかけが病気であれば身体の変化も感じるでしょう。

色々と気持ちが整理できない中、”現状の自分”を受け入れることは難しいことだと思います。

 

作業療法は身体の動きをよくするためのリハビリを行いますが、それは本質ではありません。

筆者の私見が多分に含まれますが、あくまでも”その人らしい生活”が送れるよう、同じ目線で伴走するのが役割だと思っています。

”その人らしい”経験を通して、現状を受け入れながら新しい自分・生活を作ることができるようお手伝いをする、という感じでしょうか。

 

自宅に帰る目標の方に対して動作の再獲得を目的とした調理リハ、というのはもちろん行います。

しかし、調理をする能力自体は生活を送るうえで必要性が低い方であっても、”らしさ”を取り戻すためのお手伝いとして調理という手段を用いることもあります。

『卵焼きは甘くするのが好きだった』『最後は余熱で』など、小さな”自分らしさ”を感じて、積み重ねてもらえればリハビリとしては成功です。

 

作業療法は作業を目的のための手段として用いるため、一見するだけではどのような目標でそのリハビリを行っているかわかり辛いと思います。

例えばリハビリとして編み物をしている場合、『手の動きの改善』なのか『動作の再獲得』なのか『趣味活動を生活に取り入れるため』なのか・・・など色々と考えられます。

ただ、最終的な目的は”その人がその人らしくいられること”で共通しているということは知っていただけると嬉しいです。

 

長くなってしまいましたが、個人的にリハビリ職種の中でも役割がわかり辛いと思う作業療法についてお話させていただきました。

作業療法士ってこんなことを考えているんだな~と思っていただけたら嬉しいです!

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