薬剤部 お薬のお話
医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院

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21「胃薬」

胃薬にはどのような薬があるのでしょうか

胃薬には多くの種類がありますが、胃酸を抑える薬と胃の粘膜を保護する薬に大きく分けられます。この他に胃痛を抑える薬、けいれんを抑える薬、消化を助ける薬などがあります。「胃もたれ」に効くという薬も多く市販されていますが、「胃もたれ」にも、食べたものの消化不良が原因となる場合や、胃が炎症を起こしている場合など様々な原因があり、それぞれに薬が効く仕組みは違います。

病院で処方される薬も市販されている薬も、一部を除いて成分は同一の場合が多いようです。単一成分のお薬の他、複数の成分が含まれた総合胃腸薬もあります。成分の含有量は市販薬の方が控えめになっている場合が多いです。

他の病気の治療に伴って胃薬が出されることも多いと思いますが

痛み止めと一緒に胃薬が処方される場合があります。プロスタグランジンという体内物質が胃の粘膜を守る働きをしていますが、痛み止めにはプロスタグランジンの体内での合成を妨げる働きがあります。また血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞などを起こさないように血をサラサラにする薬は、胃や食道など消化管からの出血を助長するおそれがあるので、胃薬をあわせて処方する場合があります。胃薬はこのように別の薬と合わせて処方されることも多いので、入院患者さんには胃薬が重複して処方されることのないように注意を払っています。市販の胃薬を利用されている方で、痛み止めを処方された方、生活習慣病の治療を受けている方は特に気をつけて確認しています。

胃薬を利用するときの注意点を教えてください

薬の服用時には副作用を心配する方も多いと思いますが、胃薬は副作用の頻度が比較的少ない薬だと思います。ただし、まれに湿疹や下痢などの症状が出て、重篤化する場合もあります。副作用以外に特に気をつけたいのは、胃薬の重複や他のお薬との相互作用です。胃薬と別な薬の相互作用によって副作用がおこりやすくなる場合や、薬剤の効果が減弱してしまう場合がありますので、ほかに病気をお持ちの方は注意が必要です。また市販の胃薬でも、肝臓や腎臓が悪いときに使用を避けるべきものがあります。市販の胃薬を利用されている方は、お薬手帳にその旨を記載するか、医師や薬剤師にその旨を伝えていただきたいと思います。逆にドラッグストアなどで胃薬を求める際も、ほかに治療中の病気がある場合はお店で相談するようにしてください。

また、胃痛や胃もたれなどを抑えるため市販の胃薬を利用することで、胃がんなどの重篤な疾患の初期症状を隠してしまうことがあります。胃に不快な症状が続いた場合は、市販薬を求める前に医師の診断を受けることをおすすめします。

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