札幌には、三角山放送局というFMラジオ局があります。ここで毎月2回、医学ひとくち講座という番組が放送されており、何度か話をしました。私としては初めての体験でした。まず病院内でインタビュー形式で話をして、局の人が編集します。この稿は最初の放送分(2017/1/26)からですが、冗長部分は省き、足りない部分は補って再現しました。自分自身が気付かなかった口癖があり適度に略してます。Aはインタビュアーです。この方は聞き方が上手で、途中で入る合いの手も心地良く緊張症の私も驚くほど楽しかったことを覚えています。
A) 今日も医学ひとくち講座の時間です。三角山放送局がお送りします。今日は誤嚥の仕組みと予防についてです。誤嚥というのは飲み込みに関することですね。
B) そうですね。本来入って行っちゃだめなところに、唾なり食べ物が入って行くことを、誤った嚥下、誤嚥と言うのですね。
A) まず、誤嚥の話の前に、面白いお話があるということですが・・・。
B) はい、皆さんの興味を引きそうなところからです。私、野球のことはあまり詳しくないですが、ヤクルトのマスコットはスワローズということで、ツバメなんですね。ヤクルト・スワローズ。英語のスワロー(swallow)というのは「飲み込む」という意味があるんです。
A) そこから来てるんですか?
B) 誰がマスコットにツバメを選んだかという歴史は分からないのですが、「ヤクルトを飲む」というのと、「ヤクルトのツバメ」という事が見事に組み合わさっている面白いマスコットだと思います。
A) なるほど、スワロー、飲み込み・・・ということなのですね。そういえば、誤嚥(ごえん)の「えん」とは、つばめ(燕)っていう漢字ですね。
B) そうなんですよ。これは英語が語源なのか、漢字が語源なのか分からないのですが、奇妙なことに「嚥下」の「嚥」は、口編にツバメ(燕)って書くんですね。面白いんですよ。
A) 辿って行くともしかしたら、色々あるのかもしれませんね。
B) そうですね、さらにですね、水泳の飛び込み方にスワローダイブとかスワンダイブというのがあります。両手を大きく広げて真っ逆さまに水面に飛び込むのだそうです。
北海道ではあまり見かけないものですから、ツバメがどういう飛び方をするのか知らないのですが、ひょっとすると真っ逆さまに、急降下してくるのかもしれません。そうであれば、食べ物が食道を落ちていくという「嚥下」と関係あるかもしれません。