Center for pediatric noninvasive ventilation
NIVとは
NIVとは,Noninvasive ventilationの略で,日本語では「非侵襲的換気療法」と言います。NPPV(Noninvasive positive pressure ventilation)、またはバイパップと呼ばれることもあります。「非侵襲的」というのは,身体に傷をつけたり管を入れたりといったことをしない,という意味です。どちらも人工呼吸器を使用しますが,気管内挿管や気管切開と違い,NIVでは鼻にマスクをつけてそこから空気を送り込みます。従来の方法と違い,患者さまへの負担が少ないということで,成人患者さまに対してのNIVは1980年代より急速に普及しています。ただ,小児の患者さまでは,ちょうどよいマスクや呼吸器が無かったり,マスクの装着について協力を得ることが困難だったりと、あまり使用されていないのが現状です。
小児NIVセンターとは
当院小児科では,2006年から小児の患者さまに対しても積極的にNIVを使用しています。喘息や気管支炎などによる急性呼吸不全に対してNIVを使用することで気管内挿管をせずに済んだり,肺の病気や神経筋疾患により慢性呼吸不全の状態になってしまった患者さまにNIVを使用することで気管切開をすることなく,呼吸の苦しさが軽減され,学校に通ったり自宅でも安心して過ごすことができるようになっています。これまで当院の小児科外来を受診されたなかでも、NIVを必要とする子供達がとても多いということがわかり,当院では2008年4月より専属の医師・看護師・理学療法士を配置した「小児NIVセンター」を開設します。センターといっても特定の病棟があるわけではなく,小児科病棟および外来・集中治療室・自宅など患者さまがいる場所へスタッフが出向いて治療を行う体制をとっています。また,訪問看護ステーションとも連携し,病院から自宅への退院をスムーズに行えるようにしたり,体調が悪くなったときも24時間対応できるような仕組みを作っています。
対象となる主な疾患
急性呼吸不全、慢性肺胞性低換気(夜間低換気)、慢性呼吸不全、喘息,RSウイルス細気管支炎,アデノイド肥大症,肺炎,先天性肺低形成,気管狭窄,側弯症,筋ジストロフィー,ミオパチー,脊髄性筋萎縮症,脳腫瘍の術後,ポンペ病(酸性マルターゼ欠損症),先天性中枢性低換気症候群,肥満低換気症候群,ダウン症候群,脳梗塞後遺症,滑脳症,染色体異常,閉塞型睡眠時無呼吸症候群,プラダーウィリー症候群、強直性脊柱症候群,脊髄損傷,遺伝性運動・感覚性ニューロパチー,頭蓋顔面形成異常,骨形成不全症,嚢胞性肺線維症など
肺の病気や神経筋疾患により,徐々に呼吸の状態が悪くなってしまう場合があります。そのような場合,従来であれば「いずれ気管切開が必要になります」という説明を受けることが多かったのですが,NIVを使用することで,それを回避できたり、先延ばしにできることがあります。
慢性肺胞性低換気とは,慢性呼吸不全になってしまう一歩前の段階で,昼間は特に苦しそうな感じはなく,検査をしても異常は無いのですが,呼吸の力が弱くなってしまう夜間に呼吸が苦しくなったり,酸素の数字(酸素飽和濃度)が落ちてしまったりします。これを,「夜間低換気」ともいいます。この状態を放っておくと徐々に昼間の状態も悪くなってしまい,最終的には「慢性呼吸不全」の状態になってしまいます。こうなると,いつも酸素の吸入が必要になったり,気管切開をして人工呼吸器をつけなければならなくなったりしてしまいます。
その他の具体的な症状
疲労感,不機嫌,呼吸苦,不安感,朝の頭痛,夜間に何度もトイレに行く,いびきがひどい、夜間頻回に起きてしまう,入眠中に頻回に体位変換をする,朝起きるのが辛い,学校の成績が急に悪くなる,いつも眠そう,気分が落ち込む,集中力が低下する,頻回に怖い夢を見る,体重減少・増加,筋肉痛,足がむくむ,風邪を引いていないのに痰が絡む。また,上記のような症状がなくても,風邪を引く度に呼吸の状態が悪くなり,頻回に入院を要するような場合も徐々に症状が進んでいる場合があります。
検査・治療の流れ
NIV治療のQ&A
| Q1. | どのような検査をしますか? |
| A1. |
最初に外来を受診して頂きます。予め予約が必要となりますので、その際に年齢・性別・基礎疾患・具体的な症状を看護師にお伝えください。最初の外来では,問診・診察・血液検査・胸部レントゲン検査・呼吸機能検査を行います。その上で,慢性肺胞性低換気あるいは慢性呼吸不全の可能性がある場合は,1泊2日の検査入院で,耳にクリップをつけて夜間の酸素や二酸化炭素の数字を見る検査をします。また,ポリソムノグラフィーという精密検査をする場合もあります。 |
| Q2. | NIVが必要となった場合,どのように治療を開始しますか? |
| A2. |
1~2週間の入院で在宅導入を行います。最初に多数あるマスクの中から患者さまに合うものを選びます。患者さまがマスクに慣れたら実際に呼吸器を動かしてみます。その後,夜間を通して継続的に使用します。本人の症状や検査の結果に合わせて,呼吸器の設定を調節します。夜間に継続してできるようになったら,小児NIVセンターならびに小児科病棟スタッフより,在宅で呼吸器を使用することにあたっての指導を行います。また,退院後に訪問看護ステーションを利用される場合には,入院中に病棟のスタッフから訪問看護ステーションのスタッフへ引継ぎを行い,在宅への移行がスムーズに行えるようにします。導入後、半年から一年に一度、2泊3日の検査入院をして呼吸状態の評価および呼吸器の設定調節を行います。急に呼吸状態が悪くなった場合は当院の外来(24時間対応)を受診していただきます。状況によっては往診も可能です。 |
お問い合わせ先 E-Mail kids-niv.tij@keijinkai.or.jp

