消化器病センターを開設して11年が経過しました。現在のスタッフは、消化器内科医20名、放射線科医2名の計22名です。この他に初期研修医2-3名のほか、全国から多くの消化器科医師が1ヶ月程度の短期間研修に訪れています。また、内視鏡財団の助成によりアジア、ロシア、東欧、メキシコなどからの外国人医師の研修も受け入れています。
当センターが目指すところは「大学・医局間の壁や地域の枠を越えた日本全体さらには国際的な消化器病センターを作ること」です。
診療体制は、3つのグループ(消化管、胆・膵、肝臓)に分け、専門性の高い医療を行っています。
消化管グループは、内視鏡・X線を中心とした精密診断と早期癌に対する低侵襲性治療(内視鏡、腹腔鏡下治療)に力をいれています。特に、胃の粘膜内癌に対しては内視鏡的局注法によるEMRを施行していましたが、さらなる治療適応の拡大を目指し、粘膜剥離法(ESD)による一括切除術を導入しました。
胆・膵グループは、膵・胆道癌の早期診断を目指し、精度の高い画像診断を行っています。 膵・胆道癌の症例数は全国的にも例をみない数となっていますが、来院時には既にかなり進行した状態の症例が多く早期診断の重要性を痛感しています。同時に進行膵癌に対してはQOLを考慮した外来での化学療法を導入しています。このほか、慢性膵炎に対する内視鏡的治療、乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術、胆管狭窄に対する複数本の胆管ステンティングなどを行っており、これらの領域では全国屈指の症例数の多い施設となっています。
肝臓グループでは、肝癌に対する局所療法としてマイクロ波凝固療法(MCT)・ラジオ波焼灼療法(RFA)、外科的切除を病態に応じて選択し、根治的治療後の再発予防の臨床研究にも積極的に取り組んでいます。 特にRFAに関しては、いち早く1999年より開始し、経皮的治療のみならず腹腔鏡下治療やUS angio下治療あるいはTAE 併用など様々な工夫を重ねており、現在はreal-time virtual sonographyの導入に至っています。胃・食道静脈瘤に対しては、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)、バルーン閉塞化逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)、症例によっては経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術(TIPS)も施行しています。
また、これらの臨床経験については、毎年、学会発表・論文などで報告しています。
さらに、北海道の消化器内視鏡医の教育を目的として、年に2回のライブセミナーを開催しています。
診療実績(表1)
表1 昨年度の消化器癌症例数 (2007.4-2008.3)| 内訳 | 症例数 |
|---|---|
| 食道癌 | 40 |
| 胃癌 | 194 |
| 大腸癌 | 234 |
| 胆管癌 | 21 |
| 胆嚢癌 | 15 |
| 乳頭部腫瘍 | 15 |
| 膵癌 | 68 |
| IPMN | 43 |
| 肝癌 | 68 |
消化管癌の延べ症例数はセンター開設以降11年間で、食道癌284例、胃癌1332例、大腸癌1501例、膵癌519例、胆管癌189例、胆嚢癌169例、乳頭部腫瘍89例、膵IPMN 355例、肝癌604例です。
表2 昨年度の検査・治療実績 (2007.4-2008.3)| 内訳 | 件数 |
|---|---|
| 総内視鏡検査・治療 | 13277 |
| 上部消化管内視鏡 | 7249 |
| 上部消化管内視鏡的切除術 | 102(EMR:9、ESD93) |
| 下部消化管内視鏡 | 3645 |
| 下部消化管内視鏡的切除術 | 892 |
| ERCP関連手技 | 1053(診断:45, 治療:1008) |
| 内視鏡的胆道ドレナージ | 398 |
| 経皮経肝的胆道ドレナージ | 88 |
| RFA | 142 |
上部消化管内視鏡検査7249件、下部消化管内視鏡検査3645件、超音波内視鏡(EUS)検査739件、上部消化管内視鏡的切除術102件、下部消化管内視鏡的切除術892件、胃・食道静脈瘤内視鏡治療133件、ERCP関連手技1053件(診断45件、治療1008件)うち内視鏡的胆道ドレナージ398件であり、総内視鏡件数は13277件です。また、経皮経肝的処置303件のうち経皮経肝的胆道ドレナージ88件、肝癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)142件、B-RTO 5件となっています。
表3 昨年度の論文・発表実績 (2007.4-2008.3)| 内訳 | 症例数 |
|---|---|
| ・全論文 | 34 |
| 和文学会誌 | 5 |
| 和文商業誌ほか | 26 |
| 英文 | 3 |
| ・全発表 | 158 |
| 主題 | 26(全国23、地方3) |
| 一般演題 | 97(全国42、地方55) |
| 国際学会 | 10 |
| 講演 | 25 |
学会発表・講演数は158、論文数は34(和文31、英文3)です。

