消化器病センターを開設して12年が経過しました。現在のスタッフは、消化器内科医19名、放射線科医3名の計22名です。この他に初期研修医2-3名のほか、全国から多くの消化器科医師が1ヶ月程度の短期間研修に訪れています。また、内視鏡財団の助成によりアジア、ロシア、東欧、メキシコなどからの外国人医師の研修も受け入れています。
当センターが目指すところは「大学・医局間の壁や地域の枠を越えた日本全体さらには国際的な消化器病センターを作ること」です。
診療体制は、3つのグループ(消化管、胆・膵、肝臓)に分け、専門性の高い医療を行っています。
消化管グループは、内視鏡・X線を中心とした精密診断と早期癌に対する内視鏡治療に力をいれています。特に粘膜内癌に対しての内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は胃のみではなく、最近では食道・大腸に対しても導入しました。この他、炎症性腸疾患(IBD)に対する診断・治療も行っています。
胆・膵グループは、膵・胆道癌の早期診断を目指し、精度の高い画像診断を行っています。 膵・胆道癌の症例数は全国的にも例をみない数となっていますが、来院時には既にかなり進行した状態の症例が多く早期診断の重要性を痛感しています。同時に進行膵癌に対してはQOLを考慮した外来での化学療法を導入しています。このほか、慢性膵炎に対する内視鏡的治療、乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術、胆管狭窄に対する複数本の胆管ステンティングなどを行っており、これらの領域では全国屈指の症例数の多い施設となっています。
肝臓グループでは、肝癌に対する局所療法としてラジオ波焼灼療法(RFA)、外科的切除を病態に応じて選択し、根治的治療後の再発予防の臨床研究にも積極的に取り組んでいます。 特にRFAに関しては、いち早く1999年より開始し、経皮的治療のみならず腹腔鏡下治療や造影超音波下治療あるいはTAE 併用など様々な工夫を重ねており、現在ではreal-time virtual sonographyの導入に至っています。胃・食道静脈瘤に対しては、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法(EIS)、バルーン閉塞化逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)、症例によっては経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術(TIPS)も施行しています。
また、これらの臨床経験については、毎年、学会発表・論文などで報告しています。
さらに、北海道の消化器内視鏡医の教育を目的として、年に2回のライブセミナーを開催しています。
診療実績(表1)
表1 昨年度の消化器癌症例数 (2008.4-2009.3)|
内訳 |
症例数 |
|---|---|
|
食道癌 |
56 |
|
胃癌 |
197 |
|
大腸癌 |
304 |
|
胆管癌 |
23 |
|
胆嚢癌 |
20 |
|
乳頭部腫瘍 |
15 |
|
膵癌 |
75 |
|
肝癌 |
85 |
消化管癌の延べ症例数はセンター開設以降12年間で、食道癌340例、胃癌1529例、大腸癌1805例、膵癌584例、胆管癌201例、胆嚢癌192例、乳頭部腫瘍81例、肝癌657例となっています。
表2 昨年度の検査・治療実績 (2008.4-2009.3)|
内訳 |
症例数 |
|
|---|---|---|
|
総内視鏡検査・治療 |
13522 |
|
|
上部消化管内視鏡 |
7099 |
|
|
上部消化管内視鏡的切除術 |
105 |
(EMR:22、ESD83) |
|
下部消化管内視鏡 |
3774 |
|
|
下部消化管内視鏡的切除術 |
EMR682 |
|
|
EUS |
741 |
(ラジアル:646, コンベックス:95) |
|
ERCP関連手技 |
986 |
(診断:50, 治療:936) |
|
内視鏡的胆道ドレナージ |
494 |
|
|
経皮経肝的胆道ドレナージ |
22 |
|
|
RFA |
193 |
|
|
造影エコー |
432 |
|
|
肝生検 |
118 |
|
上部消化管内視鏡検査7099件、下部消化管内視鏡検査3774件、超音波内視鏡(EUS)検査986件、上部消化管内視鏡的切除術105件、下部消化管内視鏡的切除術682件、胃・食道静脈瘤内視鏡治療116件、ERCP関連手技986件(診断50件、治療936件)うち内視鏡的胆道ドレナージ494件であり、総内視鏡件数は13522件です。また、経皮経肝的処置320件のうち経皮経肝的胆道ドレナージ22件、肝癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)193件となっています。
表3 昨年度の論文・発表実績 (2008.4-2009.3)|
内訳 |
症例数 |
|---|---|
|
・全論文 |
43 |
|
和文学会誌 |
8 |
|
和文商業誌ほか |
31 |
|
英文 |
3 |
|
・全発表 |
174 |
|
主題(全国、地方) |
44(40、4) |
|
一般演題(全国、地方) |
74(29、55) |
|
国際学会 |
20 |
|
講演 |
36 |
学会発表・講演数は計174、論文数は43(和文40、英文3)となっています。





