心臓血管外科では、先天性・後天性心疾患を中心に、大動脈瘤などの大血管疾患、下肢閉塞性動脈硬化症・静脈瘤といった末梢血管疾患まで多種多様の疾患に対する外科的治療を行っており、生後間もない新生児から80歳以上の超高齢者まで非常に幅広い年齢層を対象としております。
2006年度の手術件数は総数451例で、その内訳は先天性心疾患125例、後天性心疾患126例、胸部大動脈瘤22例、末梢血管疾患88例、その他90例でした。そのうち開心術症例数は227例。1991年6月の当科開設以来、開心術総数は3000例を越えるに至っております。
当科の治療に対する基本方針としては、退院後の生活の質の向上を目標としておりますが、まず安全に手術が行われることが前提で、リスクの高い症例においても可能な限り良い術前状態で手術に臨み、質の高い手術を行うことです。そのため、術前検査・治療、術後管理を循環器内科医、小児循環器科医、麻酔科医と連携しておこない、また成人開心術症例に対しては脳神経外科の協力のもと、頚動脈エコー、脳動脈MRAなどの検査により動脈硬化性脳血管病変の有無を評価し、開心術後の重篤な合併症である脳合併症の予防に努めています。
後天性心疾患
治療対象は冠動脈疾患でありますが、近年のカテーテルインターベンションの発展に伴い、外科的治療の対象となる症例数が減少する一方、冠動脈バイパス手術対象となる症例が重症化し、カテーテルでは治療が困難な高度の動脈硬化性病変や急性心筋梗塞にて血行動態が破綻しショックに陥った症例、あるいは広範囲の心筋梗塞や反復する心筋梗塞によって心機能が極端に悪化し著明な心拡大を呈する虚血性心筋症などに対する手術症例が増加しております。
心臓弁膜症においてはリウマチ性を原因とするものは減少しておりますが、加齢に伴う動脈硬化性病変による大動脈弁狭窄症、また僧帽弁変性による僧帽弁尖逸脱、腱索断裂などによる僧帽弁閉鎖不全症が増加しております。大動脈弁置換術における人工弁の選択については、特に65歳以上の症例では抗凝固療法の不要な生体弁を積極的に使用し、また僧帽弁閉鎖不全症に対しては自己僧帽弁を温存し修復する弁形成術を積極的に行っています。
先天性心疾患
小児循環器科医との密接な連携のもと、術前・術中・術後を通して常に共同で診療にあたっており、手術手技・周術期管理の進歩も相まって新生児の複雑な心奇形に対する外科的治療成績も飛躍的に向上しております。人工心肺も小容量の回路を開発することにより低体重の小児例でも無輸血手術を行うことが可能となってきました。また肺高血圧症を伴う手術や術後の肺高血圧クリーゼに対して直ちに対応可能なように一酸化窒素(NO)ガスを常備しております。さらには重症複雑心奇形術後などのきわめて高度な心不全に対応すべく低容量の心肺補助装置を常備し、従来救命とはほど遠かったような重篤例も救命可能となってきました。また心房中隔欠損症などの単純心奇形に対しては全胸骨正中切開を行わず小切開創より行うMICS(minimally invasive cardiac surgery)法を行っております。
当科の治療対象疾患に対してわれわれは、程度の差はありますがいずれも"緊急疾患"との位置づけをしております。すなわち心臓血管疾患は生命予後に直結する重大な疾患であり、また患者さんに最も大きな不安とストレスを与える病態であることから、診断が得られた時点で可及的速やかに外科的治療が施行されるべきだと考えております。心臓血管系に異常が疑われるいかなる症例に対しても即応いたしますので、その際には是非ご相談下さい。
小児循環器パンフレットのご紹介
Cardiac Surgery

