ピッツバーグ大学メディカルセンター(UPMC)との提携、並びに米国人内科認定医の常駐
当院は研修プログラムをスタートした当初より、ピッツバーグ大学医療センターの関連病院であるシェーディサイド病院臨床研修プログラム部門から具体的なアドバイスを受けられるような協力関係を結んできました。このため、研修医はシャディサイド病院の内科だけではなく他の科の見学もできるようになっており、この見学制度は研修医からは非常に評価の高いものとなっています。当院の初期臨床研修を修了した研修医のうち、既に5名がシャディサイド病院の内科臨床研修プログラムへ進みました。最初の卒業生は現在ピッツバーグ大学医療センターで総合内科のフェローシップ中です。また、当院はアメリカ人の内科認定医を継続的に雇用しています。教育チームの一員としての役割は、英語によるモーニングレポートとティーチングラウンドを主宰し、総合内科の外来及び入院に関する指導と助言を行なうことです。さらに重要なことは、UPMCへの編入やアメリカの他の病院で臨床留学を考えている研修医の助けになれるということです。また、UPMCやUCSF(サンフランシスコ州立大学)といったアメリカの医療機関から年に数回、医学部教授を招いて病棟回診やティーチングラウンドなどの教育の機会も提供されています。
アメリカと日本で臨床研修を終えた日本人指導医の存在
当院には、このような指導医が3名おり、それぞれ責任者として研修医の指導にあたっています。アメリカにおける臨床トレーニングや組織の枠組みを、どのようにして日本に取り入れていくかということについて豊富な知識と理解力を持ち、全ての研修医にとってのメンターであるとともに、アメリカでの専門科研修に興味を持つ研修医達へのガイダンスを行なうことができます。
しっかりとした構造と柔軟性を併せ持つ臨床教育
全ての研修医は、毎日のモーニングレポートと定期的に行なわれるクラス形式でのティーチングラウンド、そして内科/内科系専門科、あるいはその他の専門科における教育カンファレンスに毎週参加することになっています。当院の特色として、各科の指導者と研修医の間で密接なコミュニケーションがとれているため、不備な部分については容易に改良することが可能だというところです。
ケースに則したアメリカンスタイルのモーニングレポート
研修医は、最近自分が経験した症例のプレゼンテーションをもとに、臨床研修部の指導医が運営する教育的なディスカッションの中で指導を受けることができます。指導のポイントについては、参加者全員が臨床現場で役立てることができるような形で提示されますが、更に大切なのは、このディスカッション形式によって、個々の診断技術と治療能力を伸ばすための思考プロセスを開発しようとしている点です。
教えることは学ぶこと
人に何かを教えるということは一番の勉強になります。このプログラムでは、研修医の意識を教えられる側から教える側へと、自然に切り替えていくことができるようになっています。例えば、研修1年目の間には既に、上級研修医の指導の下で同年次の研修医へのレクチャーを始めます。そして研修の中で進歩していくにつれて、時々はプレゼンテーションを続けると同時に、ケースディスカッションの司会も務めるようになり、ひいては病棟や救急部で自分より下年次の研修医の指導を手伝うまでになります。
English
英語について言えば、時々、英語漬けだという噂を恐れて当院を敬遠する医学生がいると聞きます。もちろん最初から英語が流暢であれば問題はありませんが、それが必要不可欠だということはありません。日本で沢山の優秀な医学生が長年、勤勉に英語を学んできたにも拘らず、英語を聞いたり話したりする自信に欠けるのは、単純に会話練習をする機会が乏しいからなのです。もし、英語に自信がなくても、自分の英語力の向上に最善を尽くしたいという覚悟があるならば大丈夫です。
きめ細かな外来指導
周知の通り日本では、外来でのプライマリ・ケア指導が歴史的に重視されてきませんでした。これは世界的な情勢とは対照的であるといえます。当院では、アメリカの医学教育機関との提携を通じてプライマリ・ケア外来研修の重要性を知り、その発展を促進させてきました。基本的にはアメリカの総合内科並びに家庭医療研修をモデルとして、内科外来に指導医を配置し、全ての患者の診察について指導を行なうようにしています。また、1年目の家庭医療研修医と、3年目以上の内科系研修医を対象にした継続外来と、指導要綱に基づいた教育外来指導カンファレンスの実施も始めるところです。ここ数年の間に、日本でも遂にこのようなプライマリ・ケア研修の必要性が叫ばれるようになってきましたが、当院は、これを早くから行い、また、それをどのように行なえばよいかを理解している、数少ない病院の一つなのです。
身体所見と病歴採取技術を磨くワークショップ
2008年度から全ての1年次研修医を対象に、模擬患者を使った診療シュミレーション練習を行なうこととなりました。こうした練習により、一般的な症例に自信を持って対処できるようになり、患者ケアの力もより向上させることができます。
EBM(Evidence-Based Medicine)の実践
EBMは医学界では国際的に認められたスタンダードであり、日本でも益々受け入れられてきています。専門家毎に分かれたグループによる文献ディスカッションに加え、当院のアメリカ人指導医は、EBMの方法論に基づき、いかにして掲載されている臨床研究を批判的に吟味していくかということに焦点を絞って、徹底的な抄読会を行なっています。尚、可能な限り、日本国内で行なわれた研究を評価対象にしています。
3年間初期研修プログラム
この臨床研修プログラムでは当初から、アメリカにおける3年間の卒後臨床研修制度をお手本としてきました。スーパーローテーション研修が開始されてからは、最初の1年目と2年目に政府の定める必修ローテーションを取り入れるようにしたのは当然ですが、依然として研修プログラムの3年間というのは非常に貴重な期間だと考えています。入職する段階で全ての研修医の専攻が指定されていることにより、可能な限り早くに、個人のニーズにあわせた研修が可能となるからです。各研修医が興味を持っている分野のローテーションについては、スーパーローテーション中の選択期間に組み込まれていますし、研修医が各専門科の教育カンファレンスに参加することも可能です。そして3年目になると、引き続き臨床研修部のモーニングレポートで総合的な力を伸ばしつつ、既に部分的に開始していた専攻科でのトレーニングに徐々に専念していくことができるのです。
手稲渓仁会病院の臨床研修プログラムは、改良の道がある限り、常に進化を続けています。皆さんも手稲渓仁会病院で卒後臨床研修を始めませんか。5-6年目の医学生は気軽に病院見学をお申し込み下さい。