診療室便り
「ダイエット」2010年8月
こんにちは。
家庭医療科の続木です。
ダイエットについて誤った知識が横行しているように思います。私自身今までに何度も体重増加(筋肉も脂肪も)と減量を繰り返し、この1年間で運動を中心に11Kgのダイエットをおこないました。日本拳法選手時代に体重は90Kgを越え、腕回りが約50㎝、太ももが太すぎて市販されているパンツがはけず、入門したてのプロレスラーのような時代もありました。4か月で25Kgを落とした事もありました。研修医時代は寝る暇もなく筋肉も落ち、病棟回診で「体調は?」と聞くと「先生よりはいいよ」と言われた時代もありました。ストレス解消の名の元に暴飲暴食にて体重が激増えの時もありました。そんな私ですが、現在は加圧トレーニングを中心とした運動を日常生活に取り入れ、身長175㎝、体重64kg、腹筋を6つに割り、ウエスト68㎝、レディースのローライズジーンズを履いています(どうやらローライズだとウエストが太めに作ってあるようです)。
今回は実体験に基ずいた食事と運動についてお話したいと思います。
人はなぜ太るのか?
体重はエネルギー吸収や摂取、基礎代謝や運動などでコントロールされ、内臓で感知された栄養情報が脳に伝えられ食欲がコントロールされます。ただし、人間の場合は食べ物の見た目や雰囲気、過去の味記憶に大きな影響を受けてしまう。医学的に難しく例えれば、基本的に人間は脂質と糖質を含む食品が基本的に好きなようにできています。「甘いものは別腹」とゆう表現の実態は、甘いものやジャンクフードを見た際に脳はβ-エンドルフィンを分泌、これがさらにドーパミンの分泌を促します。ドーパミンはオレキシンとゆう物質を分泌させ脳の摂食中枢に働き、摂食量を増加させます。その結果、胃の消化活動が亢進、胃内容物は小腸に送られ、胃には新たなスペースが出現します。別腹もしくは別脳といえるでしょう。これは「甘いもの、ジャンクフードがおいしい」と認識されていなければ起きないし、ダイエットが成功してくるとスウィーツやジャンクフードのカロリーが気になり、以前よりおいしさがなく食欲がわかないのと同じと考えています。
じゃあ、食べなければいいのか?
例えば2000Kcal必要な男性が2050Kcalの食事を1年間続けると18000Kcalの余剰が生まれます。脂肪1gが7.2Kcalである事を考えると2.5Kg/年、 25Kg/10年の増加となり、20歳で65Kgなら30歳では90Kgになる計算になります。
じゃあ食べなければいいのかとゆうと、そうではありません。
食べなければ痩せます。とゆうか飢餓です。理想的な食事は摂取カロリーが、1日の適正エネルギー50~60%を炭水化物で、25%以内を脂質で、残りを糖質で摂取し、摂取タンパク質は体重あたり50~80g/日とする。脂肪が極度に減ると人間は生きてはいけません。体脂肪率が10%を切ると生理が止まるため、日常生活を正常に送るには12%が限界と言われています。男性の場合は生命維持に必要な体脂肪は4%が限界で、プロボクサーの減量完了時で10%以下、平均5~7%くらい、ボディビルダーの大会前で5%と聞いた事があります。ただし、常にこの状態にしているわけではなく、人によって常に10%前後の人や、普段は体脂肪を上げておいて大会前に大幅に絞る人など様々と大会前のボディビルダーに伺った事があります。
極度の脂肪制限は飢餓であり、極端に摂取エネルギーや炭水化物や糖質を減らすと、減った糖質を補給するために筋肉と肝臓からエネルギーを確保します。すると筋肉は分解され減少、基礎代謝が落ちて太りやすくなるといった悪循環を繰り返します。ようするにバランスのよい食事をとらないと脂肪だけではなく筋肉も落ち、キレイには痩せません。この点に関しましてチョン・ダヨン氏、舟木誠勝氏、石井直方氏(東京大学大学院総合文化研究所(生命環境科学系)教授)など根本的には同様の考え方と理解しています。
① 2010.1.28 疲れた印象がぬぐえません。 |
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実際の自分の写真を見てみましょう。①は本年1月のもので、食事量が極端に減っており、1000Kcal以下/日になっていた時代、写真②はある程度の食事と間食は許容し、カロリー的には多いときで2000kcalはとっていると思われます。(現在はダレてきており、北海道生まれのためかなりのアイスクリームを許容しています。)。少しは決まり顔になっていたと思っていましが、写真②比較すると大胸筋と腹筋、肩の筋肉の張りも薄く、全体的につかれた感じになっています。
では、何をすればいいのか?
キレイにダイエットするためには運動、食事、プロポーションの維持の相互作用が重要になってきます。具体的には筋肉をつけて基礎代謝を上げる、食事のコントロールとなります。思っている以上に簡単には痩せません。ダイエットはあなたの本気を試されています。体重は落とす事もさる事ながら維持する事の方が難しいです。
食事の観点から
食事の観点からいえば、長時間の空腹状態をつくると飢餓状態と認識した体が脂肪を分解せずにエネルギー消費の大きい筋肉から分解、これが続くと代謝をあげるための筋肉が落ち効果的に痩せません。そして酸素と糖分しか栄養にできない脳は働きが鈍くなり、ボーっとしたいり、いらいらしたりします。極度に炭水化物を減らした人と理想の食事でダイエットした人を比較した試験では炭水化物を減らした方が体重は減ったが、体調不良や気分の落ち込みや易怒性が出現、ストレスによる脱落者が大幅に増加したとの報告もあります。1日の食事を3~5回で細かく摂るのが一般論的にも経験的にも良いと思います。食生活の見直し(習慣、時間など)も大事です。早食い、まとめ食い、間食、ナイトイーター(夜食、就寝3時間以内の食事)、ジャンクフードの嗜好性などのセルフチェックを行ってください。これらは確実に太る原因です。
運動の観点から
運動については筋肉をつけて代謝率を上げる事を考えるのが一番やせます。
1日に消費するエネルギーのうち、基礎代謝(体温保持や呼吸など)は60~75%、活動時では15~30%程度、基礎代謝の高い人ほどエネルギーを消費します。基礎代謝は筋肉量に比例し、ダイエットでは筋肉を減らさない事が大事です。前述した事と重複しますが、低糖質ダイエットはインシュリン(糖質をエネルギーとして体に取り込むホルモン。血糖を下げる。)を分泌させない事が基本で、極度に炭水化物を減らすと糖質が減少、インシュリンが分泌されないために細胞内の糖も減少、脂肪だけでなく筋肉の分解がおきます。
最初は運動の種類や心拍数、運動強度など難しく考えないでください。運動は継続が大事です。買ったダイエット本やDVDの文句を言っているうちは痩せません。バットを持ったことがない人がホームランの打ち方で悩んだり、初めてやる競技で練習のメニューが合わないと嘆くのと一緒です。
具体的な運動方法としては1回30分以上、週3回のウォーキングくらいがスタートとしては無理のない範囲と思います。その後スピードを鼻歌が歌えない程度、歩く姿勢などに注意、その後にトレーニングジムやジョギングなどに変更していきます。ただし運動量を同じにして、最高酸素摂取量の40~55%でウォーキングを行った群と65~85%の強度(ジョギング)で運動した群では体脂肪の減少だけで言えば優位な差は認められず、導入期から強度の運動にすると整形外科的障害が発生しやすいです。運動時間は長時間一気に取るのと、細切れの運動のどちらがよいかは個人差が大きくはっきりとは判断できないとされています。例えば、5日/週で20~40分を1度に行う群と10分ずつ2~4回/日に分けた群では18か月で体重、体脂肪の変化に差は認められていません。日常生活の細切れの時間を利用する事が大事で、運動強度や実践時間にこだわると失敗する原因になります。
主な種目とまとめを下に記載します。
種目)
・有酸素運動
ウォーキング、ジョギング、エアロビ、テニスなど
・レジスタンス運動(筋トレ)
自重を用いたもの、ダンベル、ゴムバンド(ビリーバンドもね)、マシン
など。
・ストレッチ系の運動
ストレッチ、ヨガ、ピラティスなど。
運動強度)
導入期:低強度:散歩、ウォーキングなど
減量促進期:速歩など
減量達成期:ジョギングなど
時間:いつでもよい。
頻度)
週3~12回程度。3回なら30~120分が限度。週10回以上であれば朝夕2回を5~6日、15~60分の範囲内で行う。
有酸素運動に励んでいたとしても、摂取エネルギーが高ければやせません。「あまり食べていないのに太っちゃう、運動しているのにやせない」はあり得ないとゆう事になります。つまりはトータルの摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってる場合に体重は増える、トータルの摂取エネルギーが消費エネルギーを下回っている場合に体重は落ちます。
次回は自分の体験した食事と運動方法(ウォーキング、ビリーズブートキャンプ、スロートレーニング、トレーシーメソッド、デューク更家式ウォーキングダイエット、加圧トレーニング)についてお話いたします。

