診療室便り
「私たちの研修」2010年7月
先日、月齢1ヶ月の男児が外来にやってきました。話を聞くと、2週間前から顔と頭にぶつぶつが出てきたのだとか。普段は大人の患者さんを見ることが多いのですが、かりんぱにはこんなに小さな患者さんもやってきます。部屋中いっぱいの泣き声をあげながらとっても元気な様子で、顔と頭の湿疹を診察してみると脂漏性湿疹のようでした。特に処置や処方も必要なく、正しいスキンケアの話しをして診察は終了です。
家庭医療クリニックは、老若男女問わずどなたでも診察を受けることができます。産まれてきた赤ちゃんの診察で来たお母さんや、おじいちゃんも一人の医師が診ることができるのです。そして、必要な時は渓仁会病院の各科の専門医に紹介させてもらっています。目の前の患者さん、そして患者さんの家族メンバーも一緒に健康維持のお手伝いをする、これが家庭医療の特徴の一つなのです。
幅広い患者さんを診察できるようになるまで、私たち研修医は日々奮闘しています。医師になりたての頃は、本院で主に入院病棟や救急外来での研修を重ねながら、週に1回かりんぱでも研修を行います。かりんぱに来る患者さんからは、医学的な問題に留まらず様々なことを学ばせてもらっています。当然ですが、患者さんは一人ひとり異なる生活環境、そして人生観をお持ちです。それぞれの思いをよくお聞きし、複雑な医療システムの中からベストな選択肢を選び、満足して頂ける医療を提供していきたいと考えています。
今家庭医のニーズは少しずつ高まってきています。継続的に一人の患者さんと関わること、そして色んな問題に一緒に取り組みながら、その人の健康を第一線でサポートしていくという考え方が、社会全体で必要になってきています。他の専門領域と比べると、日本ではまだまだ知られていないのが現状ですが、全国的にも早い段階で家庭医療プログラムを開始した当院には、志の高い優秀な医学生の見学者が絶えません。一人前の医師に成るべく、はるばる北の大地にやってくるわけです。
当院に見学に来る医学生たちが、時折患者さんの診察をさせて頂くことがあるかと思います。彼らは大学教育だけではなく、実際の臨床現場に飛び出して、早期から様々なことを吸収しようという意欲でいっぱいです。診察に少し時間がかかったり、わからないこともたくさんあるかと思いますが、将来患者さんや社会全体に貢献できるよう、どうか暖かく見守ってあげて下さい。
さて、そろそろ今月のお便りも終盤です。最後に、富良野のラベンダー写真を皆さんにお送りしたいと思います。6月の暑い日でしたが、あたり一面に人々の心を捉えるような紫の絨毯が広がっていて、とても気持ちの良い時間を過ごせました。それでは、来月の診療室便りも是非お楽しみに!
<神野 範子>

